当学会110周年記念式典にて
各社の技術力を物語るポスター
2005年の学会統合後、新学会の考え方として会員への技術力向上につき学会として何をするべきかと言う課題について、「技術者教育ニーズ調査」のプロジェクトチームを発足させた。そして学会員の技術教育についての問題意識に付き、かなり大規模な調査を行なった。対象は主として大手及び中手造船会社技術者(若手、中堅、管理・経営者)、官庁・協会・研究機関・船社とした。回答を得た会員数は204人である。
その結果、回答頂いた会員全般の意見として技術者教育に学会として取り組んで欲しいとの意見が回答者の6割以上であり(不要は2割)希望の技術科目など多くの意見を頂いた。しかし討議の結果学会内に新規に技術者教育体制を作るロスを考慮し、それまで造船工業会(以下、造工)、中小型造船工業会(以下、中造工)が実施して来た「社会人教育」に学会も主催者として参加することになった。学会の参加で中堅技術者コースを設け、現時点で参加者も大幅に増加している。このチームではCPD(Continuing Professional Development、継続能力開発)の考え方や大学教育への期待などの意見も取り纏めた。この組織は2006年7月の理事会で「技術者教育センター」として学会内固定組織として位置付けられ、2007年度からのCPDシステム試行に向かって詳細な検討チームを発足させた。
一方、日本造船学会、関西造船協会、西部造船会が共同で、その後日本マリンエンジニアリング学会や造工の参加を得て、技術者資格支援、大学教育等支援、技術者教育機能を持った「技術者支援委員会」を設立して大きな成果を上げてきたが、上記学会内の技術者教育機能と技術者支援委員会の組織を発展的に統合し、新たに学会内に「能力開発センター」を設けることが2007年3月の理事会で合意され、2007年度から発足することになったものである。
日本の造船産業発展の根幹は技術であるべきである。しかし造船事業に係る技術者の技術力・開発力の観点から見れば、今後日本の造船産業技術競争力を維持発展させるためには多くの問題と懸念がある。
これらの多くの問題は大学、造工、造船各社、関係官庁等が色々な方策を考えて今後も対策を取られて行くが、学会としても「能力開発センター」が主体的に学会内関係委員会、関係組織と連携してこれら問題に対し少しでも改善解決に向かう様、努力が必要である。従って新しく発足した「能力開発センター」としての理念は、「学会員である日本の造船事業・造船研究の主体を成す技術者・研究者の能力開発に資する必要な活動を行い、合わせて日本の造船技術力の維持・発展に係る諸問題の改善乃至解決に対し、学会として行なうべきことに主体的な役割を果たす」ことである。
以上の観点から「能力開発センター」としての目的とミッションは下記とする。
センターにセンター長、副センター長と下記の委員会を設け、上記のミッションに対応する。(組織図参照)
日本船舶海洋工学会能力開発センター | ||
能力開発センター運営委員会 | ||
技術者資格支援委員会 |
CPD委員会 |
大学教育等支援委員会 |