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第9回 ふね遺産認定結果のお知らせ

日本船舶海洋工学会 ふね遺産認定実行委員会

歴史的で学術的・技術的に価値のある船舟類およびその関連設備を「ふね遺産」(Ship Heritage)として認定し、社会に周知し、文化的遺産として次世代に伝えるため、公益社団法人 日本船舶海洋工学会が発足させたふね遺産認定事業も、今年で9回目を迎えました。

令和7年5月19日にふね遺産審査委員会が開催され、第9回ふね遺産認定案件として下記5件を決定しました。ふね遺産審査委員会委員(順不同、敬称略)は次のとおりです。

ふね遺産審査委員会委員(順不同,敬称略)は次の通りです。

日本船舶海洋工学会会長
橋本 州史
日本航海学会会長
竹本 孝弘
日本マリンエンジニアリング学会会長
塚本 達郎
日本海事史学会会長
安達 裕之
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 准教授
福永 真弓
日本船舶海洋工学会 庶務理事
脇山 典広
ふね遺産認定実行委員会 委員長
山口 悟
第9回認定案件 認定書及び認定プレート贈呈先
潜御採取船「葉山丸」
旧横須賀海軍工廠で建造された昭和天皇の御採取船
大山祇神社
スカンジナビア(旧ステラ・ポラリス)
レジャー産業の創設と地域振興に貢献した日本初のフローティングホテル・レストラン
スカンジナビア資料館
帆船「やまゆり」
東京オリンピック(1964年)に向けて建造され,今なお海洋思想普及に活躍する2本マストの木造帆船
NPO法人帆船やまゆり保存会
明石型生船に関する歴史・造船資料一式
大きなシアーラインを有し,7,000隻余りが建造された活魚運搬船に関する歴史・造船資料
明石市市民生活局文化・スポーツ室
元禄菱垣廻船模型
元禄5年に奉納された現存するもっとも古い弁才船模型
堺市博物館

〈現存船〉

(1) 御採取船「葉山丸」
ふね遺産第52号(現存船第23号):旧横須賀海軍工廠で建造された昭和天皇の御採取船

所有者
大山祇神社
保管場所
大三島海事博物館
御採取船「葉山丸」

1934年(昭和9年)に建造された木造船。神奈川県葉山沖で昭和天皇の海洋生物採集に使用された。小型採取船ながら、船尾に採集網の投入と回収用のワイヤーリールとダビッドを設け、船首側の日覆下には洋上で採取された海産生物を観察、分類、保存できる設備が設けられた。
戦後、再び御採取船として使用された後、大三島海事博物館で保存公開されている。

全長x幅(m)16.0 x 3.7
排水量15.9トン

(2) 帆船「やまゆり」
ふね遺産第54号(現存船第24号):東京オリンピック(1964年)に向けて建造され、今なお海洋思想普及に活躍する2本マストの木造帆船

所有者
NPO法人 帆船やまゆり保存会
保管場所
江の島ヨットハーバー
帆船「やまゆり」

2本マストの木造帆船「やまゆり」は、1962年神奈川県警の警備艇として建造された。1964年の東京オリンピックのセーリング競技において、警備艇の任務と共に、海外・国内の来賓用観覧艇としても活躍した。
1993年に設立された「やまゆり倶楽部」が保存活動を推し進め、2013年に「NPO法人 帆船やまゆり保存会」を結成し、動態保存と共に海とヨットの素晴らしさを広めてきた。
国内では43ft.の大型木造セーリング・クルーザーで現役の船は非常に珍しく、日本のヨット史における貴重な「ふね遺産」と考えられる。

〈非現存船〉

(1) スカンジナビア(旧ステラ・ポラリス)
ふね遺産第53号(非現存船第13号):レジャー産業の創設と地域振興に貢献した日本初のフローティングホテル・レストラン

認定書贈呈先
スカンジナビア資料館
スカンジナビア(旧ステラ・ポラリス)

ヨーロッパのロイヤル・ヨットの伝統をよく伝える秀麗なクルーズ船「ステラ・ボラリス」として1927年に建造され世界の海で活躍した後、1969年から2006年まで日本初のフローティングホテル・レストラン「スカンジナビア」として我が国のレジャー産業の創設と地域振興に多大な貢献を果たした。
世界的にも貴重な船舶海洋文化遺産として、地域住民による自発的な保存運動を呼び起こし、現在もその活動が続けられている。

〈造船関連資料〉

(1) 明石型生船に関する歴史・造船資料一式
ふね遺産第55号(造船関連資料第7号):大きなシアーラインを有し、7,000隻余りが建造された活魚運搬船に関する歴史・造船資料

所有者
明石市市民生活局文化・スポーツ室
保管場所
明石市立文化博物館
 明石型生船に関する歴史・造船資料一式

明治38年、明石の活魚仲買商の中部幾次郎が考案した生簀を有する直立船首で大きなシアーラインをした独特の船型の活魚運搬船が登場した。初めて石油発動機を搭載し大量消費地の大阪に鮮魚を届ける時間が大幅に短縮された。その船型は凌波性に優れ、荒天時でも運航可能であった。後に「明石型生船(なません)」と名付けられたとされる本船は瀬戸内海を中心に累計 7,000隻余りが建造され、造船業、発動機産業にも寄与した。
本資料は明石型生船の歴史・造船に関する貴重な資料である。

(2) 元禄菱垣廻船模型
ふね遺産第56号(造船関連資料第8号):元禄5年に奉納された現存するもっとも古い弁才船模型

所有者
堺市博物館
保管場所
堺市博物館
元禄菱垣廻船模型

出典:「雛形からみた弁才船 上」安達裕之著(船の科学館叢書5, 2005年)

元禄5 (1692)年、棟梁戎嶋町淡路屋奉納、縮尺は10分の1、来歴は不詳である。航長は39.8尺、肩は15.8尺、上深さは5.87尺、大工間尺石数370石である。以下の点で、他に類を見ない特徴をもつ雛形模型と考えられる。
1. 弁才船として本雛形が現存する最古の雛形と考えられる。
2. 舳から艫まで通した垣立(かきたつ)の下部の菱組の格子と高い艫矢倉は、菱垣廻船の条件を満たしている。
3. 入頭(いれがしら)を入れた高い五尺、四角錐状の二番船梁の水切、高い横山、舳垣立の前後にある縁摺形式の伝馬込(てんまこみ)などに元禄期の特徴がよく表れている。

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