船舶において配管は必須であり、その配置は船舶の居住性・操作性・メンテナンス性など商品としての付加価値を生み、また配管艤装に関係する機器や資材・工事の物量は全体に対して無視できない割合である。そのため配管艤装設計および施工における技術革新は国際競争力向上に大きく貢献する。このような背景のもとで、本シンポジウムでは造船技術者や学生を対象として、3D-CADや3Dデータを駆使した配管設計・施工の最新の話題や、建築設備やプラントの設計施工などの異分野における最新の取り組みについて取り上げ、今後の可能性についての検討の一助とすることを目的とする。
2024年9月30日(月) 9:30~15:30
オンライン方式(webex meeting)
※講演時間には質疑応答10分が含まれます。
開会挨拶
安東 潤(西部支部長,九州大学 教授)
講演1
船舶機関室の機器配置および配管経路の最適化について
濱田 邦裕(広島大学大学院 教授)
船舶機関室は船舶毎の個別設計が主体である。一方で他産業ではモジュール化やコモンアーキテクチャの導入など、多様性とコスト・生産性の両立を目指す設計・生産手法の導入が進んでいる。本研究では、バルクキャリアの機関室の機器配置設計および配管経路設計の上流部分に着目し、機関室機器のモジュール化や機器配置と配管経路の共通化・最適化について検討したので、その概要を報告する。
講演2
船舶の配管艤装設計向け、および建築設備向けの自動設計
木村 元(九州大学大学院 教授)
配管経路設計では、サポート等に起因するパイプ配置位置の制約や、経路の曲がり部分のコストの考慮が必要な上に角度や曲げ方向の制約もあるため、通常の経路探索法を適用しにくい。本講演では配管経路問題の定式化と解法について述べる。
講演3
3Dデータからの配管部品の組立手順自動生成について
谷口 智之(海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所)
配管の3Dデータから干渉を考慮した組立手順を自動生成するアルゴリズムを紹介する。RRTベースの組立パスプランニングと順序計画を提案し、機関室配管を例に実際のCADデータから実用的な計算時間内に組立手順が得られることを確認した。
講演4
3D-CADの有効活用(自動化)による働き方改革への挑戦
藤本 勝(辰星技研株式会社 新技術開発準備室)
昨今の物価上昇や働き方改革による人材確保の重要性を合理化で乗り切る挑戦を試みる!円安による海外のビジネスパートナー活用の優位性減退や、国内での人材確保の難しさ、さらに物価上昇によるインフラコストの増大による経営圧迫の打開策として、設計ツールの有効活用(自動化)により乗り切る切り札を自社開発しています。
講演5
配管艤装用3次元CAD利用における新しい取組紹介
大八木 健(株式会社スマートデザイン)
新しい4項目の取組内容と事例紹介を行う。
1)類似船(Sister Ship)設計の取組
姉妹船データのリンクで、重複データ入力無の平行設計が可能
2)系統図(Diagram)と3Dモデルのリンク取組
設計精度の向上が期待
3)管一品図作成機能の改善
チェック機能の強化と一品図の自動作成力の向上
4)3Dモデル利用電線(Cable)ルーティング
正確なケーブルルーティング設計と電線長の自動算出が可能
講演6
造船事業者間における設計情報連携「GRADE/HULL-AVEVA Interface」について(国交省関連事業)
尾崎 雅(株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ)
ジャパンマリンユナイテッドと今治造船と当社の間で共同研究として、双方が使用する3Dモデルのインターフェイスの開発を行い、生産設計情報の相互交換と有効性の実証を行った。本講演では、その具体的な手法とその結果及び課題を紹介する。
閉会挨拶
木村 元(西部支部運営委員,九州大学 教授)
※全体進行:上妻 正和(西部支部運営委員,尾道造船株式会社)
会員:1,000円(シニア含む)
非会員:2,000円
学生(会員):0円
学生(非会員):0円
参加登録をして頂いた方には講演テキスト(電子ファイル)を配布予定
9月23日(月)までに下記の「参加申し込みフォーム」よりお申し込みください。
会議案内およびテキストのダウンロードについて、後日ご連絡致します。
参加申込みフォーム ※申し込みは終了しました。