三菱重工業(株)下関造船所総務法務部・人事労政部 因幡 智子
当社下関造船所 (以下「当所」) の第4ドック (大正5年竣工) と、第3ドック (大正11年竣工) が、日本遺産「関門 "ノスタルジック" 海峡〜時の停車場、近代化の記憶〜」の構成文化財として今年4月28日に認定されました。
日本遺産は、地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化や伝統を語るストーリーを、文化庁が「日本遺産 (Japan Heritage)」として認定し、そのストーリーを語る上で欠かせない文化財群を、国内外に戦略的に発信していくことにより、地域の活性化を図ることを目的としています。
「関門 "ノスタルジック" 海峡〜時の停車場、近代化の記憶〜」は、関門海峡を挟む福岡県北九州市と山口県下関市において、幕末から昭和30年代前半の日本が近代国家建設に向けて躍動した時代をテーマとしており、当所の第4ドック、第3ドックは、下関市の旧英国領事館、旧秋田商会ビル、北九州市の門司港駅等の建築物とともに、この構成文化財として選定されています。
第4ドックは、大正5年に当所 (大正3年開所) の隣地にあった江ノ浦造船が築造しました。ドックのサイズは長さ55.6m、幅10.5mで、築造当時は花崗岩石積だったと思われますが、現在はコンクリートで表面が覆われ、階段に当時の形状をとどめています。
第3ドックは、江ノ浦造船を継承した彦島船渠が大正11年に築造しました。ドックのサイズは長さ82.8m、幅16.3mで、花崗岩石積の形状を、ほぼ築造当時のままとどめています。
昭和18年に彦島船渠の後継会社を当社が買収した事で、最終的に2つのドックは当社資産となりました。
稼働中の生産設備が遺産に登録されるのは珍しいことですが、その背景には、ドックが築造当時の形状をとどめているというだけでなく、大正3年の操業から現在に至るまで、関門海峡を眼前に臨む当所が、下関地域の中核的工業である造船業を牽引してきた役割と歴史があります。
2018年、当所の船舶事業は「三菱造船株式会社」として新たな出発点に立ちますが、これからも、さらなる飛躍を目指して、下関の地で造船の歴史を刻んでいきたいと思います。
因幡 智子
三菱重工業(株)下関造船所総務法務部・人事労政部