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西部支部メールマガジン第76号

九州大学における海洋開発人材育成コースについて

九州大学大学院工学研究院海洋システム工学部門 宇都宮 智昭

平成28年4月から、九州大学では、大学院工学府海洋システム工学専攻、建設システム工学専攻及び都市環境システム工学専攻の修士課程に「海洋開発人材育成コース」を設置し、海洋エネルギーの利用技術、海底下資源の探査・開発技術に関する高度な専門知識と総合計画能力を持つ技術者と研究者の育成に積極的に取組んでいます。その授業科目と単位を表1に示します。

表1 海洋開発人材育成コースの授業科目と単位
授業科目単位
選択造船工作論
Efficient Shipbuilding
4
選択高速船設計論
High Speed Vessel Design
2
選択材料・構造力学
Material and Structural Mechanics
4
必修海洋流体構造連成力学
Ocean Fluid-Structure Dynamics
2
選択海洋システム設計学
Design of Ocean System
4
必修海洋再生可能エネルギー
Ocean Renewable Energy
4
選択ライザーとパイプライン
Risers and Pipelines
4
選択サブシーシステム論
Subsea Well Construction and Petroleum Production System
4
選択海洋システム制御技術
Control Technology for Marine System
2
選択海洋計測工学
Maritime Big Data and Satellite Utilization
4
選択海洋環境工学
Marine Environmental Engineering
2
選択海洋資源の経済学
Economics of Marine Resource
4
必修国際海洋開発フィールド演習
International Field Practice for Ocean Development
2

現在、東京大学の佐藤徹教授が中心となってコーディネートされ、日本の海洋関係4大学 (東京大学、横浜国立大学、日本大学、九州大学) とブラジルの海洋・資源関係5大学 (USP (University of Sao Paulo)、UFRJ (Federal University of Rio de Janeiro)、UNICAMP (University of Campinas)、UFPE (Federal University of Pernambuco)、UFSC (Federal University of St. Catarina)) との間でBrazil-Japan Collaborative Program for Naval Architecture and Offshore Engineeringという文科省予算による教育プログラムが走っています。九州大学における海洋開発人材育成コースは、本プログラムの九州大学としての受け皿として設置したものです。

写真 1 講義風景
写真 1 講義風景
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本プログラムの大きな特徴は、講義はインターネットを通じてすべて英語かつ遠隔で行なわれ、受講者は、プログラムに参加している日本側4大学、ブラジル側5大学それぞれのキャンパスにおいて、スクリーンに写される講師と講義資料に基づき受講する点にあります。九州大学における受講の様子を写真1に示します。

日本とブラジルの間には基本的に12時間の時差がありますので、講義をどの時間帯に実施するのかが、まず問題になります。調整の結果、日本側は夜7:30〜9:00の開講、ブラジル側は朝7:30〜9:00の開講となりましたが、その決め手となったのは、ブラジル側は治安の問題で、夜の開講とすると学生が危険にさらされるため誰も講義に出てこなくなる、というものでした。日本では想像できないですが、実際にブラジルに足を運ぶと、実感として理解できます。

講師についても、日本側・ブラジル側それぞれから講義内容に応じて最適な方に依頼がなされ、学生は九州大学にいながらにして、九州大学以外の多くの講師陣から海洋開発に関する最先端の知識を学ぶことができます。また、英語によりなされる国際水準の講義を受けることで、大きな刺激になっていることと思います。

九州大学における海洋開発人材育成コースのもうひとつの大きな特徴は、国際海洋開発フィールド演習を必修としていることです。具体的には、2週間以上の国際インターンシップを基本としており、既に多くの大学院生を海外に送り出しています。表2に、国際海洋開発フィールド演習として単位認定したものの実績を示します。一部、国内での実施分がありますが、これは、ブラジルから日本に来た学生とともにインターンシップを受けたものです。平成28年度の修士課程入学生が26名、平成29年度は入学生が24名ですので、平成28年度は35%、平成29年度は42%の学生が国際インターンシップに参加していることになります。

表2 国際海洋開発フィールド演習の実績
年度主なインターンシップ先派遣先実習期間人数
H28STATOIL社(スタバンゲル)ノルウェー6/13~10/11
サンパウロ大学、ペルナンブコ大学ブラジル9/3~9/191
大島造船所西海市9/12~9/241
ロバートゴードン大学(アバディーン)スコットランド8/13~9/94
常石造船セブ工場フィリピン8/23~9/212
合計9
H29ノルウェー理工科大学NTNU(トロンハイム)ノルウェー8/14~9/81
STATOIL社(スタバンゲル)ノルウェー6/23~9/51
ロバートゴードン大学(アバディーン)スコットランド8/10~9/101
サンパウロ大学、ペルナンブコ大学ブラジル8/29~9/181
DASH Engineering Philippines Inc.フィリピン9/3~9/162
上海交通大学中国7/5~8/312
海上技術安全研究所三鷹市7/24~8/41
大島造船所西海市9/4~9/221
合計10

このようなインターンシップを参加希望する学生は、元々、モチベーションの高い学生が多いのですが、インターンシップ終了後は、さらに逞しくなって帰ってくるように思います。将来、海洋開発に携わる際には、海外が主なフィールドとなりますので、国際的に活動できることは極めて重要な資質です。このことから、座学だけでなく、今後とも、このような国際インターンシップを積極的に進めていきます。

最後に、この場を借りまして、インターンシップ実施に関してお世話になりました関係各位に厚く御礼申し上げます。

宇都宮 智昭
九州大学大学院工学研究院海洋システム工学部門
海洋エネルギー資源工学

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