佐世保重工業(株)艦艇・修繕船営業部艦艇営業課 谷本 佳吾
当社は、長崎県佐世保市に所在する海上自衛隊及び米海軍佐世保基地に隣接した場所に位置し、一般商船の建造・修理、官公庁船等の修理及び一般商船用クランク軸等の製造を主な事業としており、その中でも艦艇・修繕船事業においては、基地に隣接した土地柄から、海上自衛隊の艦艇修理を主体として行っています。
海上自衛隊艦艇の修理施工にあたっては、艦艇の種類 (護衛艦、補給艦、掃海艇等) ごとに防衛省から修理資格を得る必要があります。資格取得の条件としては、艦艇の種類別での検査・修理実績又は修理能力を有することと併せて、造船所での修理時に艦艇内で生活が出来ない乗組員に貸与する生活用施設 (「賄所 (厨房・食堂施設)」及び「ドックハウス (宿泊施設)」) の保有も条件の一つとなります。
当社は、賄所として6施設を保有しておりましたが、これらの施設は最大で乗組員200名までの対応施設となっており、当社が新たに大型艦艇 (乗組員300名以上) の資格取得を目指すにあたって一つのネックとなっていたため、設備更新を行うことといたしました。
設備更新の計画を行う際、既存施設を参考にすることは勿論ですが、グループ会社の同様な施設も参考にしつつ、入港艦艇の乗組員へのヒアリング調査・インタビュー調査で協力を得ながら建物概要を取り纏めました。そして、現存の海上自衛隊艦艇の中で最大乗組員数である約400名まで対応可能なことと、近年増加している女性自衛官の艦艇部隊配置も考慮し、女性専用の設備を整えることを基本仕様としました。
また、約400名用の賄所とするためにはかなりの建物面積が必要なことから、厨房は400名分が1度に調理可能ではあるものの、食堂は3回転で全員の食事を完了できるようにすることで必要面積を出来る限り小さくしました。さらに、施設の稼働率を上げることを目的として、400名の艦艇だけではなく、200名の艦艇2隻の同時対応を可能とするため、厨房・食堂は必要に応じて半分に分割できるようレイアウトも工夫しています。
尚、250名が同時期に宿泊可能な宿泊施設 (ドックハウス) もこのたび更新しており、賄所と合わせ、工場施設整備、技術資料の整備及び社外研修の実施による事前準備を経て、現在では、ヘリコプター搭載型護衛艦の修理資格を新規に取得し、各種検査・修理工事を行っています。
谷本 佳吾
佐世保重工業(株)艦艇・修繕船営業部艦艇営業課
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