ツネイシホールディングス(株)マーケティングコミュニケーション部 志賀 雄太郎
常石造船のばら積み貨物船 "カムサマックスバルカー" の試運転に乗船
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食事はボリューム満点のスタミナ料理。「試運転に行くと体重が増える」という声もあるとか
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貨物艙いっぱいに海水を張り、両脇の貨物艙から隔壁の歪みが無いかを確認する
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エンジンルームにて発煙筒を焚き、火災報知器の作動確認
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皆さんは "試運転" と聞いて何を思い浮かべますか? 船舶の竣工を目前に控え、お客さまに最高の船舶を届けるため数多くの確認を行う試運転。この度、8万2000トン級のばら積み貨物船 "カムサマックスバルカー" の海上試運転に広報担当が密着取材しました!
試運転には大きく3つの重要な役割があります。
従って造船所、お客さま、船級と立場の違う3者が乗船します。
今回の日程は3泊4日。総勢52人が乗り込み広島県福山市の常石工場を出航、愛媛沖まで足を延ばします。大小合わせ30以上の試験を実施し、特に速力や燃費を計測する試験では船が持つ性能を十分に発揮できるよう、操舵室と機関室の担当者が密に連携を取ります。また火災報知器の作動確認や居住区での騒音計測など、安全や生活に関わる試験も行います。
試運転は試験を実施して終わりではありません。最終日にはお客さまと造船所側の代表者が一堂に会し、試運転中に抽出されたお客さまからの要望とその理由が説明されます。両者の間で真剣なやり取りが行われ、建造契約や船級規則などの各資料を確認しながら粘り強く意見交換を重ね、要望と納期の最適解を見つけ出すのです。
さて、気になる試運転中の船内生活をご紹介します。外界と遮断されていることもあり、食事は楽しみの一つ。プロの料理人が1日3回、栄養満点の料理を提供してくれます。部屋割は多くの関係者が乗船するため、基本的に相部屋です。また大切な商品を汚したり傷つけたりすることが無いよう、床や壁、机に加え、ベッドのマットレスまでもビニールで養生したまま過ごします。
航海中はほとんど揺れも無く心配していた船酔いとは無縁でしたが、下船してしばらくは目を閉じると足元が揺れている感覚がありました。無意識のうちに体は揺れを感じていたようです。
それぞれのスタッフが全く異なる役割を持ちながらも「試運転の成功」という一つの目標に向かう姿は、工程が多岐にわたる造船業そのものと重なって見えました。試運転に乗船して改めて体感した造船業の大きなスケール。これからもその魅力を発信していきたい思いに駆られています。
志賀 雄太郎
ツネイシホールディングス(株)マーケティングコミュニケーション部
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