IEMV Ltd. 伊達 好紀
ジャパン マリンユナイテッドのベトナム設計子会社IEMV Ltd.について紹介します。ベトナムのハイフォン市に駐在を始めて早や6年目に入りました。仕事の量も順調に増え続けており、5年前には40名だった従業員数は現在68名にまで増えました。今年から、一定の条件はありますが、JMUグループ以外の作業もお手伝いさせていただけるようになりました。
よくベトナム人は優秀で勤勉と言われます。新しいソフトウェアなどの習得の早さには目を見張るものがありますし、日本へ派遣するなどして新たに身に付けた作業を帰越後に他のスタッフに横展開するのも非常にスムーズです。自腹で週3回日本語教室に通って日本語を学び、日常業務のやり取りを日本語でこなしている者も何人もいます。確かに優秀で勤勉な人が多くいます。では、ベトナムで設計会社を運営するということは容易でバラ色なのでしょうか。
弊社は2007年6月に創業しました。従業員は近隣の海事大学の卒業生が中心ですが、ベトナムの優秀な若者を集めるだけで日本の会社が求める品質や納期を自律的にキープすることは到底不可能だと感じています。
ベトナムの人たちはとても大らかでフレンドリーです。親日的で治安もよく、駐在者の生活は比較的楽だと思いますが、仕事となると話は別です。ベトナムに来られたことがある方はご存知かと思いますが、空港のイミグレスタッフや交通警察が仕事中にスマホをしているのは当たり前。信号を無視して交差点に群がり、かえって混雑してしまっている様子はベトナムの風物詩と言えます。このように、仕事や規則に対する基本的な姿勢は日本人のそれとはまったく異なっていると考えなくてはなりません。
弊社も創業以来、日本人が常駐し、日本が求めるQuality、Cost、Deliveryに対応するよう努力を継続してきました。それでも未だになんだかんだ月に1、2度くらいはトラブルが発生し、わたしが双方の言い分を仲介し、トラブル解決や再発防止策を一緒に考えることがあります。要するに、ベトナムでベトナム人と一緒に設計業務を行うということは非常にポテンシャルのあることだと言える反面、それをうまく運営し続けるには相応のエネルギーが必要です。
弊社では最近、「IEMVway」と称して、主に小集団活動を通して、IEMVの強さ・価値を向上するためのビジネスリテラシーを全従業員が具有するための活動を開始しました。例えば、不具合が発生した際、これまでは原因の究明と再発防止策を指示すると、「原因はケアレスミス。対策はチェックリスト」と判で押したような回答が多かったです。しかし、日本でよくやられているように、「なぜ、なぜ」を繰り返して真の原因を追究し、その上で本当に有効な対策を自律的に立てる能力を身に付けさせようとしています。
スケジュールについても、イメージや漠然とした感覚で「できます」「できません」ではなく、根拠のある能率と納期と配員を考慮した上で、「何人足りません」「作業の完了は何日になります」といった回答が適切なタイミングでできるようになってほしいと考えています。
昨年には外部の日系教育機関を起用し、グループリーダー (5名) を対象としたリーダー研修を1年間掛けて実施しました。その結果、グループリーダーたちは自分の利害だけでなく、会社全体のことを考えて判断・行動してくれるようになりました。現在はその下のチームリーダーを対象とした研修が来年5月までの予定で進行中です。弊社スタッフはこうした取り組みに対して、非常に積極的に取り組んでくれます。
給与レベルは他社と比べて決して高くありませんが、こうしていろいろなことに積極的にチャレンジしてくれるのは、お互いに信頼と尊敬の関係が成り立っているからに他なりません。お互いの母国語でない英語での会話は、時にモドカシイこともありますが、積極的にコミュニケーションを取り、時に叱り、時に褒め、路上の安ビールで夢を語り合い長い時間をかけることでようやく醸成されるものと思います。
会社ピクニック
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伊達 好紀
IEMV Ltd.
構造設計
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