佐世保重工業(株)新造船事業部設計部船体設計課 宮脇 誠
当社のパナマックスバルクキャリアシリーズは1988年に竣工した68,000重量トン型に始まり、72,000、74,000、75,000、76,000、78,000重量トン型と時代のニーズに合わせて大型化してきました。現在に至るまで120隻以上の建造実績を誇り、当社建造船の中心的な船種として長きにわたり主力船型の一翼を担ってきました。
その主力船型であるパナマックスバルクキャリアシリーズの最新建造船として、78,000重量トン型 "ZUIYO" が2015年12月に起工し、今年4月に進水、そして6月に無事に竣工しました。
以下に本船の主な特徴をご紹介します。
船尾部に当社開発の省エネデバイス "Sasebo Stern Fin" を装備しており、推進効率の向上を図っています。また、リアクションラダーとラダーバルブを組み合わせた形状の舵を装備し、PBCF (Propeller Boss Cap Fin) を設けることで、さらなる省エネ効果の向上を図っています。さらに、波浪中の燃費悪化を低減させる船首形状として、バルバスバウのない独自の形状を採用し、実海域での性能向上を図っています。
係船装置に16ドラムを採用し、荒天時などの厳しい環境下でも確実に係船できる安全性を確保しています。Ship's officeにバラストコントロールコンソールを設置し、バラスト水の注排水操作を遠隔で行えるようにすることで、船員の作業負荷を軽減しています。
その他の特徴として、2020年1月に強化されたMARPOL条約付属書VIの硫黄酸化物排出規制に対応するため、排ガス浄化装置としてSOxスクラバーを搭載しています。
ILO海上労働条約 (MLC2006 "Title 3. Regulation 3.1 Accommodation and recreational facilities, Standard A3.1") にて要求される設備要件を満たすことで船員の労働環境に配慮し、船内騒音コードの規則を適用することで居住環境にも配慮しています。
2009年の船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約 (通称シップリサイクル条約)(The Hong Kong International Convention for the Safe and Environmentally Sound Recycling of Ships, 2009) とEU規則で要求される、船舶に存在する有害物質等の概算量と場所を記載した一覧表を所持し、NKのIHM (Inventory of Hazardous Materials) のノーテーションを取得しています。
本船の主要目は以下の通りです。
最後に本船の設計・建造に当たっては船主殿、船級協会殿、各メーカ殿及び関係各位の皆様に多大な御指導、御協力を賜りました。この場をお借りして御礼申し上げますとともに、本船の今後の御活躍と御安全をお祈り致します。
宮脇 誠
佐世保重工業(株) 新造船事業部設計部船体設計課
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