ジャパン マリンユナイテッド(株)設計本部船舶海洋設計部船体計画グループ 古川 泰寛
2020年6月15日に当社有明事業所にて竣工しました301,000DWT VLCC "APHRODITE" について紹介します。
本船は、スポットトレード向け最適船型として累計35隻以上の建造実績を誇る2百万バレル型VLCCから続くコンセプトを受け継ぎ、最新規則を適用しつつ燃費性能の大幅向上を目指して開発された、次世代省エネ船 (G-Series) VLCCの9番船です。
VLCCとしてはコンパクトな船型ながら、浅喫水時の載貨重量最大化を追求し、スポット用船を主とする東西トレードに対応できるフレキシビリティーを持っています。本船の主な特徴を紹介します。
最新のCFD技術および船型試験水槽での模型試験による船型最適化が行われており、加えて、当社独自の省エネ装置であるSuper Stream Duct®、SURF-BULB®、ALV-Fin®を採用し、また、低回転・ロングストロークタイプの電子制御エンジン、低摩擦塗料、当社設計の大直径プロペラの採用により、従来船を大幅に上回る性能を達成しています。
Ax-Bow®と呼ばれる船首形状、及び、低風圧居住区の採用により、実海域での性能も向上させています。
本船は主機と発電機の排気ガス出口部にSOxスクラバーを搭載しており、2020年1月から一部指定海域を除いた一般海域へ適用されるSOx (硫黄酸化物) 排出規制に適合しています。また、SCRシステムを搭載しておりNOx排出規制Tier IIIにも適合するなど、様々な環境規制に対応しています。
古川 泰寛
ジャパン マリンユナイテッド(株)設計本部船舶海洋設計部船体計画グループ
船体計画