西部支部メールマガジン第98号
D/W7,600MT型RORO船 "あやはし" の紹介
尾道造船(株)設計部船舶開発課 桑岡 育
試運転の様子
尾道造船所から出航する "あやはし"
2021年2月に当社の尾道造船所にて、竣工・引き渡しを行ったRORO船 "あやはし" (琉球海運(株)様向け) を紹介します。「あやはし」とは、船主様が拠点を構える沖縄に伝わる琉球最古の歌謡集「おもろさうし」に出てくる言葉であり、「美しい橋」を意味します。
本船は、長年、尾道造船グループが手掛けてきたRORO船の最新船型です。尾道造船所においては1997年の "にらいかない" (同船主様向け) 以来、24年ぶりのRORO船の建造です。
本船の基本コンセプトと特徴を紹介します。
1. 荷役装置と輸送能力
- 40FTシャーシ及び乗用車合わせて約430台、DW7,600MTの積載能力を有しています。
- トレーラーシャーシ、乗用車、一般コンテナ及び冷凍コンテナを含む様々な貨物を積載することができます。
- 船首尾に計2基の荷役ランプを装備しています。
- ラッシングベルトの引き締めを自動で行うオートラッシング装置「シャーロック」を装備し、固縛作業の省力化と短時間化を実現しています。
2. 操船性能の向上
- 船首尾に合わせて3台のスラスターを配置するとともに、広舵角仕様の操舵装置を採用し、港湾内における操船性を向上させています。
- フィンスタビライザーを搭載し、航海中の安定性を向上させています。
3. 環境性能の向上
- 1基1軸の推進システムと電子制御エンジンの採用により、燃費性能を向上させています。
- 排ガス中の硫黄酸化物を除去するSOxスクラバーを搭載しており、環境負荷の低減と経済性を両立しています。
本船の主要目は以下の通りです。
主要目
- 全長
- 181.51m
- 型幅
- 26.00m
- 型深
- 10.00m
- 満載吃水
- 6.70m
- 載貨重量
- 7,600MT
- 総トン数
- 11,681トン
- 主機
- MAN-B&W 9S50ME-C8.5
- 航海速力
- 21.3knot
- 船級
- 日本海事協会
- 船籍
- 那覇
桑岡 育
尾道造船(株)設計部船舶開発課
基本設計