西部支部メールマガジン第102号
3,055 TEU CONTAINER SHIP 「WAN HAI 321 吉春」の紹介
日本シップヤード(株)設計本部基本設計部船体計画グループ (JMUから出向) 藤田 泰明
WAN HAI 321 吉春 試運転の様子
2020年9月にジャパン マリンユナイテッド(株)呉事業所にて竣工・引き渡しされた3,055 TEU CONTAINER SHIP 8隻シリーズの1番船 "WAN HAI 321 吉春" について紹介します。
アジア発着及びアジア域内での海上輸送量の増加に伴い、中長距離の定期航路への投入が想定されるフィーダーコンテナ船には高い積載能力が求められる一方で、定時運航を可能とする高い航海性能も求められます。本船は当社技術を駆使し両性能を高いレベルで実現し、従来船に比べ環境性能と運航性能を著しく向上させた新船型船となっています。
本船の主な特徴について紹介します。
- 幅広船型
他社建造船 (Panamax幅船型) に比べ幅広船型にすることで、復原性能が大幅に改善しコンテナ積載時のバラストが不要になり、コンテナ積載数を大幅に増加させています。さらにblock coefficient (方形係数Cb) の減少と最新の解析技術により推進性能を大幅に向上させることに成功しています。
- 省エネ船型・省エネ装置
最新の解析技術による低抵抗・高効率を追求した幅広最適船型を開発し、併せて、当社独自の省エネデバイスであるLV-Fin, ALV-Fin®の最適化により、従来船に比べ大幅な燃費削減を達成しています。
また、MAN-B&W最新デザインとなる電子制御エンジンMark10.5の採用、冷却海水ポンプのインバーター制御の採用により、さらなる燃費性能の向上を実現しており、温室効果ガス排出規制であるエネルギー効率設計指標 (EEDI) は2022年4月以降の契約船に適用されているPhase 3レベル (リファレンスラインから30%以上削減) を先取りして満足させています。
- 航海支援装置
INS (Integrated Navigation System, 統合型航海システム) 及び全天候型ブリッジの採用により航海中及び離着桟時の操船の利便性/安全性の向上に加え、CCTVカメラシステムを装備し、航海支援・機関室内監視等によって安全性も向上させています。
また、各種モニタリングなどスマートテクノロジーを備える船舶に付与されるDNV Smart Ship Notationを日本で建造される船舶において初適用させています。
本シリーズ船は全8隻が就航し運航者殿から高い評価を得ており、後続案件として本シリーズからNOx対策をより強化した船と、本シリーズのリピート船を合計して数十隻もの追加発注をいただきました。現在、弊社各事業所にて建造が鋭意進められております。
主要目
- 全長
- 203.5 m
- 型幅
- 34.8 m
- 型深
- 16.6 m
- 喫水
- 11.5 m
- 載貨重量
- 37,160 t
- 主機関
- 7S70ME-C10.5
- 船級
- DNV
- 船籍
- Singapore
藤田 泰明
日本シップヤード(株)設計本部基本設計部船体計画グループ (JMUから出向)
船体計画