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西部支部メールマガジン第104号

九州大学船舶海洋工学教室の就職状況

九州大学大学院工学研究院海洋システム工学部門 後藤 浩二

著者は2020年度から船舶海洋工学教室に関連する学科・専攻所属学生の進路・就職指導を担当しています。以前は、造船八大学の中でも九州大学は造船業界への就職割合が多い方でしたが、近年その割合が低下しているように思えるため、過去の状況と比較してみました。

2020年度卒業・修士修了生~2022年度卒業・修士修了予定生の進路

2020年度卒業・修士修了生~
2022年度卒業・修士修了予定生の進路


2010年卒業 (2012年修士修了) 生の進路の分類

2010年卒業 (2012年修士修了) 生の進路の分類

図1は著者が進路・就職指導を担当した九州大学船舶海洋工学教室の2020年度卒業・修士修了生~2022年度卒業・修士修了予定生の進路を分類したものです。一方、図2は2010年卒業 (2012年修士修了) 生の進路の分類であり、分類区分や色分けは両図で同じものとしています。分類区分は経済産業省による業種分類法に従っていますが、造船業は「輸送機器」と別に分類し、船級協会は「学術研究、専門・技術サービス」に分類しています。両図の比較より、ここ10年で造船業への就職者数は6割程度から1/4程度にまで減少し、造船業に限定すること無く、幅広い産業に進む傾向が確認できます。

進路動向の変化理由は多数考えられますが、進路選択の初期段階で学生達が触れる産業動向の情報源が多角化し、いわゆるリクルーターが大学訪問で説明する情報が進路選択に及ぼす影響度が減少していると推察しています。また、コロナ禍の影響でWebによる説明会や選考が拡大した結果、懇親会などを通して本音ベースで企業の方と話す機会が著しく減少したことも要因の一つと推察しています。

加えて「そもそも論」になりますが、最近の工学部学生はモノづくりへの関心が必ずしも高いわけでは無く、高校時代までの相対的な科目の好みとその段階での偏差値に応じて大学入学先を決めているのではないかと、学生達の講義や研究への取り組み状況からも感じられます。

したがって、船舶海洋業界への人材供給のためには、高校生が進路をおおむね確定させる2年生よりも以前の段階で業界の魅力を知ってもらう機会にできるだけ多く触れてもらうことが重要であり、彼らの親世代にも業界の将来展望を自信を持って語ることも重要であるため、いわゆるブランディング活動を産学官一体で進める必要もあるのではないかと感じます。

当教室の社会的使命の一つは船舶海洋業界への継続的な人材供給ですが、特効薬は無いので、関連業界の皆様とも継続的に情報交換などをしつつ、より有用な方策を探っていければと考えています。

後藤 浩二
九州大学大学院工学研究院海洋システム工学部門
疲労・破壊力学、溶接工学

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