ジャパン マリンユナイテッド(株)商船・海洋・エンジニアリング事業本部
海洋・エンジニアリング事業部海洋エンジ作業船開発部 司 恭彦
2023年1月にジャパン マリンユナイテッド(株)呉事業所にて竣工・引き渡しされた清水建設株式会社殿向けの自航式SEP船"BLUE WIND" について紹介します。
洋上風力設備の大型化が進む中、本船は大型風車の設置にも対応可能な最大揚重能力2,500トンクレーンを有する世界最大級の自航式SEP船 (Self-Elevating Platform/自己昇降式作業船) です。本船 "BLUE WIND" はJMUとして引渡ベースで2隻目のSEP船となり、着床式洋上風力発電の建設で不可欠なSEP船の建造において国内トップの実績を誇ります。
着床式洋上風力発電機の物資 (風車基礎や風車部品) を基地港から設置場所まで輸送し、風車基礎設置工事や風車設置工事を行うことを目的とした作業船です。最近は洋上風力発電設備設置船WTIV (Wind Turbine Installation Vessel) とも呼ばれています。風車の設置工事は極めて高い精度が要求されるため、海象に影響されることがないようにレグを介して昇降装置で船体を持ち上げることで、安定して工事を実施することを可能としています。
本船は発電能力8MWの洋上風力発電設備を7セット、12MWなら3セットをすべて搭載し設置場所まで運搬・設置することができます。また本船はヨーロッパでは一般的な自航のSEP船です。11ノットで航行可能です。曳航が不要なので施工期間を短くできるメリットがあります。
本船を水面から持ち上げるための設備として、4本のレグと呼ばれる脚、そのレグを上下させる昇降装置が必要です。レグは3本の柱で構成されるトラス式構造で、昇降はラック&ピニオン方式で行います。ピニオンを含む昇降装置はインバータで回転を制御し、レグを介して船体を連続して上下動させることができます。
また本船は風車設置のために巨大なクレーンを搭載しています。最大の揚重能力は2,500tで、SEPとしては世界でも最大級の能力を有しています。更にこのクレーンは風車設備搭載に必要な揚重高さを確保するため、テレスコピック機能を有したブームを世界で初めて採用しています。この機能により最大揚重高さはメインデッキから158mとなっています。
司 恭彦
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海洋・エンジニアリング事業部海洋エンジ作業船開発部
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