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西部支部メールマガジン第110号

地域海洋産業界と連携した内航船舶のICT化の研究

長崎総合科学大学工学部工学科船舶工学コース 松岡 和彦

本学では2021年7月より「オープンイノベーションセンター」が設置されています。当センターは、地域のオープンイノベーションのランドマーク (拠点) として、本学が有する科学技術研究シーズ、高度な「人財」、様々な資源などを「ふるさと長崎」の経済社会活動のあらゆる分野に提供・支援・協働していくことを重要な使命としています。本学で取組んだ地域の海洋産業と連携した研究開発に関して紹介します。

インフラ整備には欠かせないコンクリート用細骨材となる建設資材である砂に関して、長崎県では、そのほとんどを海砂に依存しています。しかし、水産資源保護ならびに自然環境保護の観点から、2000年度以降、採取量の制限が行われています。また、海砂採取作業にあたり、採取船には位置確認のためのGPS記録装置や採取量記録のための採取ポンプ稼働記録装置の装備が義務付けられるようになるなど、持続可能な開発の取り組みが進められています。

"シップ・オブ・ザ・イヤー2022 作業船・特殊船部門賞" を受賞した「第五十八金栄丸」は、株式会社 有明商事 (長崎県諫早市) が保有する砂利採取運搬船 (総トン数:3167トン、LPP:100.58m、B:20.00m、D:7.50m、d:5.50m) です。海砂採集と運搬に携わる内航船舶であり、「船舶の安全性向上」、「船員の負担軽減」等を考慮した船舶のDX化等の取り組みを実施した船舶となっています。この船舶に関して、船主殿のご要望により、3D-CADでデータを構築することなく簡便かつ安価に流用設計や既存船の運航に利用可能なデジタルツインを構築する手法を本学にて検討することとしました。

図1 パノラマツアー

図1 パノラマツアー

本船の竣工直後に諫早市小長井の岸壁にて360°カメラ等を用いた撮影を実施し、撮影データからのデジタルツイン化を図りました。今回のデジタルツイン化には「パノラマツアー」の手法を用いました。パノラマツアーとは、ユーザーが360°自由に場所や視点を変えて様々な情報を閲覧できるバーチャルリアリティ技術を利用したコンテンツです。対象空間の中をパソコン内で自由に歩き回ることができます。パノラマビュー内にライブカメラのURLを仕込み、リアルタイムで現状確認も可能です。

図1に示すように対象船のパノラマツアーを作成しました。船内に入らずとも船内をパソコンやタブレット上で閲覧、確認することが可能です。パノラマツアー内に写真付きの説明を置くことで新人教育に活用することも可能です。なお海洋産業に関わる県内の関係者からの意見では、「現場での作業や部品の確認に活用できそう」、「安価であるため導入は容易である」、「シリーズ船は活用できるがオーダーメイドの船には難しそう」などの声が挙げられました。

図2 見学会の様子

図2 見学会の様子

また2022年11月26日(土)と27日(日)に長崎水辺の森公園にて開催された本船の披露イベントである「働く船の見学会」(日本財団 海と日本プロジェクト) に船舶工学コースの教員と学生が参加しました (図2)。当日は天候にも恵まれ、本船の一般公開が行われ、本コースの学生らが見学ガイドを務めました。さらに水中ロボットによるプロペラ観察やVRゴーグルを用いた機関室バーチャル見学等の展示も行いました。

関連リンク

シップ・オブ・ザ・イヤー2022 作業船・特殊船部門賞「第五十八金栄丸」

松岡 和彦
長崎総合科学大学工学部工学科船舶工学コース
構造強度,船舶設計システム

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