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原油タンカー:大きすぎて通れません!

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世界最大のタンカー「ヤーレバイキング」は、全長440m、幅69mです。想像してみてください。東京タワーの高さよりも100m以上も長く、学校の25mプールを3つつなげたぐらいの幅があるのです(ついでに言えば重量トンなら56万トンです(注1))。こんな大きな船ならさぞかしたくさんの石油を運べて便利でしょうね。

しかし最近では、「ヤーレバイキング」のような30万重量トンを超す「超」大型タンカー(注2)は建造されなくなり、30万重量トンクラスの大型タンカー(注3)が主流になっています。

超大型タンカーが建造されなくなった原因は様々ですが、大きな理由の一つは海峡を通過できないことと関係あります。現在、中東ペルシャ湾から日本へ原油を運ぶにはマラッカ・シンガポール海峡を通過するのが最短ルートです。ところがこの海峡、浅い場所では22.5mしかなく、原油を満載した「超」大型タンカーでは通過することができません。そのためジャワ島の東にあるロンボク海峡を回り道しなければならないのですが、この場合、時間にして3日間ほど、距離にして1700km、費用にして約$99,000(1000万)以上も余計にかかってしまうのです。

たくさんの乗客を乗せることができる大型バスが近所の路地を走ることができないように、いくら海が広いといっても船も大きすぎると使い勝手が悪いようですね。

(注1) 船の大きさは容積で表す場合(総トン数G/T)と重さで表す場合(重量トン数D/W)があります。客船などの場合は総トン数で表すのが一般的であるのに対し、貨物船の場合は重量トンで表します。
(注2) 30万重量トンを超す「超」大型タンカーのことをULCC(Ultra Large Crude Carrier)といいます。
(注3) 20-30万トンクラスの大型タンカーのことをVLCC(Very Large Crude Carrier)といいます。

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