海の不思議箱トップページ > 記事一覧 >元祖コンパスは魚の形
磁石のN極とS極が、それぞれ北と南の方角を向くことは、小学校で習いましたね?
鉄を吸い付けるふしぎな石=磁石の存在は古くから知られていましたが、磁石にN極とS極があることに気づいたのは、約2千年前の中国人だったと言われています。方角を知るのに欠かせない「コンパス」は、この磁石の原理から生まれました。
3世紀頃より中国で使われた、コンパスの元祖とも言える道具が「指南魚」(しなんぎょ)でした。魚をかたどって彫られた木片に磁石を埋め込み、水に浮かべると魚の頭が常に南を向く仕組みです。南の方角を指す魚なので、指南魚と呼ばれました。
「指南」ということばは、人を正しい方向に教え導く意味で、現在も使われています。
磁石の原理を利用した磁気コンパスは、のちにヨーロッパへ伝わり、現在の形に近いコンパス(羅針盤)が開発され、航海に欠かすことのできない道具として、大航海時代が訪れる原動力となりました。
しかし船の材質が木から鉄に変わり、鉄の船体が磁石に影響して方位が正しく表示されないという問題が生じたので、磁石に代わる、磁気の影響を受けないコンパスとして、回転するコマの原理を応用した「ジャイロコンパス」が開発され、現在でも船や飛行機の分野で広く使われています。
また最新の技術としては、磁気センサーを使った「電子コンパス」が携帯電話に内蔵され、自分が歩く方向にあわせて表示が回転する、地図アプリなどで活用されています。
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