日本船舶海洋工学会 関西支部  
東部支部
東部支部について
講演会/会議情報
メールニュース
その他
支部TOPへ

東部支部長からのご挨拶

角洋一先生の後を継いで,東部支部長に就任した浦です。
角先生と私は,大学院生時代,机を並べて研究していた間柄ですが,角先生は造船学の本流「船体構造力学」へと進み,私はばら積み船の鉱石圧から,錨や係留,微粉精鉱や石炭貨物の液状化などの研究を経て,自律型海中ロボット研究開発へと,船舶海洋工学の「隙間産業」を進んできました。現在では,淡水棲のイルカの音響観測にも手を広げています。


船舶工学は,これまでつねに新しい工学分野を切り拓いてきました。
大正年代,第6 代会長末廣恭二先生による東京大学地震研究所の設立,昭和に下っては,溶接工学,原子力工学,計算機利用工学,複合材料工学へのイニシャティブにより日本の技術を先導してきました。このような大テーマだけでなく,多くの新しいテーマが生み出されてきており,だからこそ船舶工学が魅力的であり続けるのであると思います。


その源泉は,海という困難な場所に船を進めるという「挑戦」があったからに違いありません。技術と知恵によって困難を克服することこそが船舶工学の本道でありましょう。それを学会というコミュニティーが支えるのです。「不可能」を可能にする挑戦が若者を引きつけ,学会ばかりでなく業界を活性化します。


挑戦が表舞台とすれば,優秀な若手をコミュニティーの中へと導入することは裏舞台のロジスティックスといえましょう。学会とは,同じような研究をしていながらも,違った立場の人たちが出会い,議論し,交流する場です。ともすれば日常的「蛸壺」に陥りがちな状況から,広い世界へと視野を広げてくれるのが学会であると思います。「公務員(国公立の先生達は法人化する以前は公務員だった)はみだりに民間人と酒を飲んではいけない」というような「厳しい」制約のために多彩な交流が妨げられるようになって数十年,唯一,学会こそが自由な交流を可能にする場ではないかとつくづく感じるものです。


一昨年,東部支部の運営委員として,太田垣由夫さん,渡邊厳さんとともに,産官学の意見交換会「F4 会」を企画しました。「Friday の4 時から」という意味です。多忙な中,シニアと中堅の方々が集まり,議論を深めたことで,このような会合の必要性を痛感しました。そこで,産官学の3 本の柱をより等しく太くするために,今回の東部の運営委員には,産官学の東部支部だよりバランスを考えた人選を進め,さらに「F4 会」の第二弾として若手の交流会を本年8 月末に企画しました。立場を越えた若者の交流は,人と組織を育てると思うからです。


学会における「正当派」の交流は,会員ならば誰でも参加できるワークショップやシンポジウム,あるいは講習会のような開かれた会合においておこなわれます。東部の活動を見ると,残念ながらそうした活動が極めて少ないように見受けられます。春と秋の定例の2 回の講演会を別にすれば,定期的に開催されている開かれた会合はありません。単発的なものもほとんど見受けられません。学会全体でも,定期的に開催されているシンポジウムは,海洋工学・海洋環境研究企画部会の海洋工学シンポジウム(1.5 年に1 回)と設計艤・装設研究企画部会のシンポジウム(2 年に1 回)の2 つだけのようです。交流を促進するには,まず,このような会合の数を増やすことが必要ではないでしょうか。


どのような規模のものであれシンポジウムを企画し実行するには,オーガナイザーの献身的な努力が必要です。今後,「F4 会」の活動や若者による交流をベースに,優れたオーガナイザーによる新たな企画,それも長続きのする企画がたちあがり,学会がより活性化していくことを期待いたします。


日本船舶海洋工学会 東部支部長
浦 環



PageTop
Copyright 2005 日本船舶海洋工学会 関西支部 All Rights Reserved.
E-mail