Ship of the Year'00の選考委員会は去る4月16日 日本海運倶楽部で行われた。委員12名中2名欠席10名が出席した。今回の応募作品は7点。本選考に先だって3月23日に学会員による予備選考が行われたが、7点全部がそのまま本選考に持ち込まれた。 まず各作品の推薦者によるプレゼンテーションがそれぞれ持ち時間10分で行われ、つづいて委員から質問が5分 という手順で進められた。やはり7点にもなるとプレゼンテーションだけで2時間ほどかかった。 終わってまず委員各自が1点を選んで投票する。4票が1点,2票が3点で過半数を占める作品が無かったので、あらためて4点の作品についてディスカッションに入る。そのあと再投票となった。その結果最多票5票を得た山中造船建造、岡本汽船の小型RORO貨物船「泉翔」が授賞と決定した。 つづいて準賞の選考に移り、三菱重工下関造船建造 P&O European Ferries の旅客フェリー 「EUROPEAN AMBASSADOR」と住友重機械工業他7社による係留船「MEGA FLOAT」の2作品が選ばれた。 Ship of the Year'00に決まった「泉翔」は、総トン数744トンの内航重量物運搬RORO貨物船で、鉄鋼製品の線材・棒鋼を積んで小倉−堺を航行している。その荷役システムがユニークで、船内に搭載しているストラルドキャリアが38トンの重量物パレットをかかえて搬出入し、船内のクレーンで二層の甲板にパレットを移動収納・搬出するなど荷役能力を従来の二倍半も向上させている。 又、荷役中の船体の傾斜をバラスティングコントロールで常時調整している点も注目された。 これらの新しいアイデアはこれからの内航物流のあり方を考えさせるきっかけにもなるだろうと評価されたのである。 準賞のイギリスのフェリー「EUROPEAN AMBASSADOR」はヨーロッパの新しい安全基準をクリアした国際レベルの船で、デザインも美しく多くの評価を得た。なお応募作品としてもう一隻のほぼ姉妹船「EUROPEAN CAUSEWAY」が加わっていたが、多少内容が充実している新しい「EUROPEAN AMBASSADOR」一隻のみを準賞の対象とした。 「MEGA FLOAT」は船舶と並ぶ造船学会のもう一つの研究分野である洋上浮体構造の将来への可能性を追求する大きなプロジェクトであったという見地から準賞となった。
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