トップページ > 表彰 > Ship of the Year 2007

表彰

Ship of the Year 2007

 日本船舶海洋工学会が授賞するシップ・オブ・ザ・イヤーは、毎年、日本で建造された話題の船舶の中から、技術的・芸術的・社会的に優れた船を選考して与えられるもので、今年は18回目となります。今回からは、6部門で作品が募集され、計8組、10隻の応募がありました。シップ・オブ・ザ・イヤー2007の応募作品発表会と選考委員会は、5月30日にウェルシティ長崎(長崎市)で開催され、シップ・オブ・ザ・イヤー 2007の各部門賞として「BRASIL MARU」(大型貨物船部門)、「茂丸」(小型貨物船部門)、「Dr.海洋」(特殊船部門)が選考されました。 さらに部門賞の中からシップ・オブ・ザ・イヤー2007の選考が行われ、大型貨物船部門のバルカー「BRASIL MARU」が選ばれました。

Ship Of The Year'07 & 部門賞「大型貨物船部門」

  BRASIL MARU
船種…バルカー  船主…Tamou Line (洞雲汽船(株))  建造会社…三井造船(株)
LppxBxD…325.00x60.00x28.13 m  総トン数…160,774トン  建速力…15.0ノット
主機…MITSUI MAN-B 7S80MC-C 23,640kW  積載貨物…鉄鉱石 327,180MT

 本船は世界最大級のバルクキャリアーで、日本とブラジルの更なる友好の象徴としての役割を担ってポルトガル語表記で「BRASIL MARU」とし、輝かしい歴史を刻んだ貨客船「ぶらじる丸」の3代目として誕生しました。
 初代ぶらじる丸、2代目ぶらじる丸も当時の造船技術の粋を集めた日本の最優秀船でありましたが、3代目に当たる本船も、現在の造船新技術を随所に取り入れて建造されました。比重の重い鉄鉱石を大量積載するため、大型化には荷重を相殺する十分な浮力を確保する船型開発や長期安定輸送の観点から、溶接端部に新たな疲労強度改善処理(UIT:Ultrasonic Impact Treatment)を行い長寿命化を実現するなど、造船、鉄鋼の両技術が融合した画期的な船です。載貨重量32万トンというバルクキャリアーの超大型化によって、効率的な運行が実現すると同時に、単位輸送当たりのCO2、NOX、SOXなどの環境負荷が軽減し、ますます環境に優しい輸送モードの実現となりました。

部門賞「小型貨物船部門」

 

部門賞「特殊船部門」

茂丸   Dr.海洋
 
船種…内航タンカー  
船主…英雄海運(株)
建造会社…新潟造船(株)
LppxBxD-d…92.32x16.00x8.50-6.4 m  
総トン数…4,289トン  
建速力…14.9ノット
主機…Wartsila9L20-1,650kWx2基 23,640kW  
積載貨物…バルク石油製品(白油) 6,127cub.m
特徴的な装備品…省力化支援システム・二重反転ポッド型推進器
  船種…海洋環境船(海面清掃兼油回収船)  
船主…国土交通省 近畿地方整備局
建造会社…(株)アイ・エイチ・アイ・アムテック
LppxBxD-d…31.0x11.6x4.2-2.64 m  
総トン数…196トン  
建速力…15.4ノット
主機…MTU4000M60 1,320kWx2基  
積載貨物…海面浮遊ゴミおよび油
特徴的な装備品…清掃装置・油回収装置・測量装置

 スーパーエコシップ・フェーズUの実証船、実験時スーパーマリンガスタービンによる電気推進と二重反転ポッド型推進器2基を搭載し、さらに省力化支援システムを装備した次世代内航タンカー。

  海面に浮遊するゴミ、油の回収から水質調査まで幅広い業務に対応する海洋環境船。回収作業の効率化と安全確保を図り、海洋環境の保護・改善に寄与しています。

シップ・オブ・ザ・イヤー2007 選考経過

作品賞「シップ・オブ・ザ・イヤー」は大型貨物船「BRASIL MARU」

 作品賞は応募があった大型貨物船、小型貨物船、特殊船の各部門の「シップオブザイヤー優秀部門賞」の中から特に一点選んだものです。 鉄の生産に大きな影響を与える鉄鉱石の輸送コストの削減という大きな命題を克服したこと、特に溶接技術にUITを採用し、大型船の疲労強度の改善が高められたことが評価されました。 本年はブラジル移民100周年の年に当たり、移民船としてBRASIL MARUが造られて、本船はそのV世です。 この事業は造船に関し、社会にアピールする啓発運動であることから、そのイノベーティブの意味も含めて選びました。


「シップ・オブ・ザ・イヤー 最優秀部門賞」

大型貨物船部門は「BRASIL MARU」

 BRASIL MARUとMOL CREATIONの二隻において、選定票にほとんど格差がありませんでした。MOL CREATIONは新素材47kgf/mm2級高張力鋼板を採用し、これに関わる設計・製造技術の開発が評価されましたが、僅差でBRASIL MARUに選定されました。


小型貨物船部門は「茂丸」

 造船のみならず、他の業界に既にある技術・アイディアを総合的に取り入れて、よくインテグレイトして環境問題や経済性の効果を強く打ち出したことが全選考委員の評価を集めました。


特殊船部門は「Dr.海洋」

 特殊船の部門では、選定対象船において、その内容は特に強くアピールするものがありませんでしたが、海面上のゴミ・油の回収効率がやや改善されたことが評価されました。 「耕洋丸」は漁業練習船としては画期的な機具を揃えたものとしては評価されましたが、在来船を扱うもっと基本的な教育も大事であるとの意見も多かったです。

シップ・オブ・ザ・イヤー選考委員長 平野 拓夫

選考委員会委員

平野 拓夫 氏 (委員長) インダストリアル デザイナー
桐島 洋子 氏   作家
種村 国夫 氏   イラストレーター
森本 靖之 氏   日本船長協会 会長
税所 史朗 氏   海事プレス社 常務取締役
丸山 淳一 氏   読売新聞社 論説委員
鈴木志津子 氏   ジャーナリスト
智片 通博 氏   前NHKエグゼクティブプロデューサー
藤本 逸朗 氏   日本海事新聞社 編集部長
土井全二郎 氏   日本海洋調査会 代表
(順不同)    
問い合わせ先
〒105-0012 東京都港区芝大門2-12-9 浜松町矢崎ホワイトビル
(社)日本船舶海洋工学会事務局
TEL:03-3438-2014〜2015 

▲このページの最上部へ

Ship of the Year history

▲このページの最上部へ

学会事務局

〒105-0012

MAP

東京都港区芝大門2-12-9
浜松町矢崎ホワイトビル 3階
TEL:03-3438-2014/2015
FAX:03-3438-2016