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表彰

シップ・オブ・ザ・イヤー 2008「megumi」に決定 部門賞は 「フェリーあけぼの」(大型客船部門) 「megumi(小型客船部門)「TRINITY ARROW」(大型貨物船部門)

日本船舶海洋工学会が授賞するシップ・オブ・ザ・イヤーは、毎年、日本で建造された話題の船舶の中から、技術的・芸術的・社会的に優れた船を選考して与えられるもので、今年は19回目となり、今回は3部門に5隻の応募があった。
シップ・オブ・ザ・イヤー2008の応募作品発表会と選考委員会は、5月29日(金)神戸市産業振興センターで開催され、各部門賞として「フェリーあけぼの」(大型客船部門)、「megumi(小型客船部門)、「TRINITY ARROW」(大型貨物船部門)が選考された。
さらに部門賞の中からシップ・オブ・ザ・イヤー2008の選考が行われ、小型客船部門の軽合金製トリマラン型旅客船「megumi」が選ばれた。
授賞式は、日本マリンエンジニアリング学会のマリンエンジニアリング・オブ・ザ・イヤーおよび日本航海学会の航海功績賞の表彰と共に、海事工学三学会合同表彰式として7月24日に海運クラブにおいて行われる予定である。

なお、シップ・オブ・ザ・イヤー選考委員は下記のとおりである。

選考委員会委員(順不同)

平野 拓夫 氏 (委員長) インダストリアル デザイナー
桐島 洋子 氏   作家
種村 国夫 氏   イラストレーター
森本 靖之 氏   (社)日本船長協会 会長
税所 史朗 氏   海事プレス社 常務取締役
丸山 淳一 氏   読売新聞社 論説委員
青野 由利 氏   毎日新聞社 論説委員
智片 通博 氏   前NHKエグゼクティブプロデューサー
藤本 逸朗 氏   日本海事新聞社 取締役編集局長
土井全二郎 氏   日本海洋調査会 代表
川崎 和男 氏   大阪大学大学院 教授
三栖 邦博 氏   (株)日建設計 顧問
中川 衛 氏   金沢美術工芸大学 教授
芳村 康男 氏   日本船舶海洋工学会 理事

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シップ・オブ・ザ・イヤー2008 選考経過

「シップ・オブ・ザ・イヤー2008」には、大型客船部門に2隻、小型客船部門に1隻、大型貨物船部門に2隻の計5隻の応募があった。昨年に比べると応募船が半減したのは、ちょっとさびしい。
5月29日に神戸市産業振興センターにおいて応募船のプレゼンテーションが行われ、続いて会場を移して選考委員会が開催された。14名の選考委員のうち13名が出席した。本年4月にすでに造船技術者で構成される予備審査委員会が実施され、そこで審査された審査項目(技術の独創性・革新性、技術・作品の完成度、社会への波及効果、話題性・アピール度)ごとの採点およびコメントも参考にして、審査が進められた。
まず、「クイーンコーラルプラス」と「フェリーあけぼの」の一騎打ちとなった大型客船部門では、同一航路で離島住民のために日夜活躍している2隻の一方を表彰するのはどうかといった意見もあったが、投票の結果、予備審査での技術点の高かった「フェリーあけぼの」に軍配が上がった。
続いて、小型客船部門では、琵琶湖に就航したトリマラン型観光船「megumi」1隻のみの応募であったため、部門賞授与の信任選考となり、予備選考でも高い得点が得られていることから、全会一致で部門賞を授賞することを決めた。
大型貨物船部門では、LNG船「TRINITY ARROW」とばら積み船「SHIN-EI」の2隻の応募があったが、技術的評価で拮抗していることから票が割れる結果となった。それぞれの船の技術的特徴を同席した予備選考委員等に諮問をして慎重に選考を進めた結果、高度の技術集積が必要なLNG船を今治造船が独自の技術を織り込み、果敢に挑んで完成させたことなどが評価されて、「TRINITY ARROW」に授賞することに決した。

最後に、各部門賞の授賞船、すなわち「フェリーあけぼの」、「megumi」、「TRINITY ARROW」の3隻の中から、シップ・オブ・ザ・イヤーの選考を行った。種々、議論があった後、投票の結果、出席した選考委員の票は「フェリーあけぼの」と「megumi」でほぼ同数に割れたが、選考委員の不在者票1票と、会場での会員投票1票が加えられた結果、「megumi」が15票中の8票を獲得して「シップ・オブ・ザ・イヤー2008」に輝いた。

選考委員長 平野 拓夫

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受賞作品紹介

シップ・オブ・ザ・イヤー 2008 & 小型客船部門賞

  「megumi」
  megumi
  船名…megumi  
船種…軽合金製トリマラン型旅客船
船主…琵琶湖汽船株式会社
建造会社…株式会社杢兵衛造船所
LppxBxDxd…34.20x8.00x2.20x0.715m
総トン数…122トン  
速力…18.75ノット
主機…Yanmar 6HYP-ET(423kW)x2基
旅客数…200名
特徴的な艤装品…BDF対応主機関、ソーラ発電、風力発電、採水機等

「megumi めぐみ」は環境にやさしい船として、燃料に使用済み天ぷら油などの植物性廃食油を軽油に混合したバイオディーゼル燃料対応機関を導入している。ソーラーパネルによる太陽光や風力による発電システムも導入し、二酸化炭素排出量の抑制に配慮した新時代のエコロジー・クルーズ船である。また、流体力学を活用したトリマランと呼ばれる三胴の船体設計の採用により引き波を小さくして高速化・効率化が達成され、低燃費化を実現した。
船内フロアは、乗客のニーズに応じてレイアウトを変更可能とするなど工夫がこらされている。イベントや講演会など屋外で楽しむことが可能な後部円形デッキや、360度の景観が楽しめる2階のパノラマデッキなども装備している。1階部分はバリアフリーにも対応したフラットフロアとし、また水面が眞近かにあるので水に親しみを感ずる設計を取り入れた。

大型客船部門賞

  「フェリーあけぼの」
  フェリーあけぼの
  船名…フェリーあけぼの
船種…貨客船兼自動車渡船
船主…鉄道運輸機構/マルエーフェリー株式会社
建造会社…三菱重工業株式会社
LppxBxDxd…135.00 x 24.00 x 14.50 x 6.25m
総トン数…8,083トン
速力…21.0ノット
主機…JFE 12PC2-6V(連続最大出力 6,070kW)x 2基
積載貨物…旅客:682名、コンテナ:311個、トラック:50台、乗用車:76台

近海航行区域のフェリーでは初めて2機1軸の推進プラントを採用した最新鋭の貨客フェリーで鹿児島−奄美群島−沖縄航路に就航し、多数の離島に寄港して島民のライフラインである生活関連物資の輸送と島民の人的交流を図る重要な公共機関としての役割を担っている。2機1軸プラントの採用、最適船型とプロペラを採用し、従来の2機2軸船と比べてCO2排出量を13.3%、NOxを24.3%削減した。また、乗客の高齢化に対してバリアフリー設備の充実を図っている。

大型貨物船部門賞

  「TRINITY ARROW」
  TRINITY ARROW
  船名…TRINITY ARROW  
船種…LNGタンカー
船主…CYPRESS MARITIME(PANAMA)、S.A.
   LUSTER MARITIME S.A.
   LOS HALILLOS SHIPPING CO.,S.A.
建造会社…幸陽船渠株式会社
LppxBxDxd…276.00 x 44.70 x 26.00 x 12.05m
総トン数…101.080トン
速力…20.15ノット
主機…Steam Turbine(KAWASAKI UA-400) 最大出力 29,420kW
積載貨物…液化天然ガス(154,982m3

国内で建造されたLNG船では最大の154,900m3のタンク容積を有し、メンブレン方式の容積効率をさらに高めるためにNO.1タンクに平面断面形状が台形型の構造様式を持つタンクを世界で初めて採用した。航海速力を20.15ノットと従来より高速とし、柔軟なオペレーションを可能とした。
LNGタンクの防熱材を製造する発砲ガスには、オゾン層破壊係数、100年地球温暖化係数が極めて小さいCO2発泡ガズを世界で初めて使用した。

問い合わせ先
〒105-0012 東京都港区芝大門2-12-9 浜松町矢崎ホワイトビル
(社)日本船舶海洋工学会事務局
TEL:03-3438-2014〜2015 

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