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表彰

シップ・オブ・ザ・イヤー 2009「しらせ」に決定

社団法人 日本船舶海洋工学会が授賞するシップ・オブ・ザ・イヤーは、毎年、日本で建造された話題の船舶の中から、技術的・芸術的・社会的に優れた船を選考して与えられるもので、今年は20回目を迎えた。
シップ・オブ・ザ・イヤー2009の応募作品発表会と選考委員会は、6月8日(火)東京都江戸川区タワーホール船堀で開催され、「シップ・オブ・ザ・イヤー2009」には南極観測船「しらせ」が選ばれた。
また、各部門賞には「にしき」(小型客船部門)、「ALEXANDAR P」(大型貨物船部門)、「勢水丸」(漁船・特殊船部門)がそれぞれ選ばれた。
授賞式は、日本マリンエンジニアリング学会のマリンエンジニアリング・オブ・ザ・イヤー、および日本航海学会の航海功績賞の表彰と共に、海事三学会合同表彰式として7月20日に海運クラブにおいて行われる。

なお、シップ・オブ・ザ・イヤー選考委員は下記のとおりである。

選考委員会委員(順不同)

平野 拓夫 氏 (委員長) インダストリアル デザイナー
桐島 洋子 氏   作家
税所 史朗 氏   海事プレス社 常務取締役
藤本 逸朗 氏   日本海事新聞社 取締役編集局長
青野 由利 氏   毎日新聞社 論説委員
智片 通博 氏   前NHKエグゼクティブプロデューサー
土井全二郎 氏   日本海洋調査会 代表
種村 国夫 氏   イラストレーター
森本 靖之 氏   日本船長協会 会長
川崎 和男 氏   大阪大学大学院工学研究科 教授
三栖 邦博 氏   (株)日建設計 顧問
中川 衛 氏   金沢美術工芸大学 教授
芳村 康男 氏   日本船舶海洋工学会 理事

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シップ・オブ・ザ・イヤー2009 選考経緯

「シップ・オブ・ザ・イヤー2009」の選考は、6月8日に東京都江戸川区タワーホール船堀で行われ、応募船のプレゼンテーションに続き、会場を移して選考委員会が開催された。13名の選考委員のうち12名が出席し1名が不在者投票を行った。また、プレゼンテーション会場で一般会員による投票も行われ、これをまとめて1票と取り扱われた。事前に行われた予備審査委員会での審査項目(技術の独創性・革新性、技術・作品の完成度、社会への波及効果、話題性・アピール度)についての採点およびコメントも参考にして、選考が進められた。

まず部門賞の選考では、各部門にほとんど1隻のみの応募であるため、各部門賞はほぼ信任選考となった。漁船・特殊船部門のみ「勢水丸」と「しらせ」の2隻の応募があったが、国家プロジェクトとして開発・建造された調査船と、造船目的のあまりにも異なる漁船が、同じ部門として扱われているのはいかがなものか、同じ土俵で一つに絞っていいのかとの疑問があった。そこで本選考委員会では、部門賞にはこだわらずに、まずシップ・オブ・ザ・イヤーを選定することとした。

その結果、25年ぶりに建造され、歴代の砕氷船の経験と、最新の開発技術を取り入れて、高性能で快適な南極観測船を実現した2代目「しらせ」が、満票の14票を得て「シップ・オブ・ザ・イヤー2009」に選ばれた。そして部門賞には、バリアフリーに配慮した離島連絡船として活躍している社会性を評価し高速連絡船「にしき」に小型客船部門賞を、新しい設計・建造基準に真っ先に取り組んだ関係者の努力を評価してケープサイズバルカー「ALEXANDRA P」に大型貨物船部門賞を授賞することを決めた。また「勢水丸」には電気推進システムや陸上電源プラグインでCO2排出量を減らすなど、省エネルギー、環境対応の工夫の数々を評価し、漁船・特殊船部門賞を贈ることとした。

シップ・オブ・ザ・イヤー
選考委員長 平野 拓夫

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受賞作品紹介

シップ・オブ・ザ・イヤー 2009

  「しらせ」
「しらせ」は南極観測事業に従事する4代目の砕氷船として建造され、過酷な南極の氷海を砕氷航行する能力、1000トンを超える物資・燃料の輸送能力、3機のヘリコプタを搭載できる能力、さらに極地観測船としての機能もあわせもつ最新鋭の砕氷船である。歴代の砕氷船の経験と最新技術を取り入れ、二重船殻構造など環境面への配慮、船首散水装置やステンレス・クラッド鋼の採用による氷海航行性能の向上、船体強度の向上、マルチビーム音響測深装置などによる観測機能の充実、コンテナ化による荷役効率の向上などが図られている。
初めての航海である第51次の南極地域観測支援航海(2009年11月〜2010年4月)では、厚さ4m以上というかつてない厳しい氷況にもかかわらず、十分に所期の性能を発揮し、そのミッションを完遂した。
  しらせ
  船名…しらせ  
船種…砕氷艦
船主…防衛省
建造会社…ユニバーサル造船株式会社 舞鶴事業所
竣工年月日…2009年5月20日
LppxBxDxd…126.0x28.0x15.9x9.2m
総トン数…約18,300トン
速力…19ノット
主機…ディーゼル電気推進:交流PWM制御 5,516kW×4
積載貨物、旅客数…1,100トン、80名

小型客船部門賞

  「にしき」
新島−式根島間を結ぶFRP製連絡船で、村民の日常生活を支える交通手段として交通バリアフリー法を適用して設計、建造された。全長25.15m という小さな船の狭いスペースに新しい乗下船装置(可動スロープ)と昇降通路(船内スロープ)を設けバリアフリー化を実現している。
  にしき
  船名…にしき
船種…第2種船 小型旅客船
船主…東京都新島村
建造会社…アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド
竣工…2009年3月27日
LppxBxDxd…23.82x5.60x2.68x1.00m
総トン数…69トン
速力…26ノット
主機…コマツ12M140S-2×2
旅客数…100名

大型貨物船部門賞

  「ALEXANDRA P」
石炭および鉱石を主要貨物とし、穀物積みも可能な18万重量トン型ケープサイズバルカーで、共通構造規則(CSR)、新塗装基準(PSPC)の両規則を適用した国内初の船舶である。新規則を適用するにあたって船級協会、船主および塗料メーカーと綿密な打合せを行ない、スムーズな引渡しを実現した。
  ALEXANDRA P
  船名…ALEXANDRA P
船種…ケープサイズバルクキャリア
船主…AUCKLAND TRADING CO.
建造会社…佐世保重工業株式会社
竣工…2009年9月14日
LppxBxDxd…283.0x45.0x24.7x18.15m
総トン数…93,385トン
速力…15.3ノット
主機…MAN B&W 6S70MC-C(18,860kW)
積載貨物…石炭・鉱石・穀物、181,255DWT

漁船・特殊船部門賞

  「勢水丸」
三重大学大学院生物資源学研究科付属の練習船として、「高度情報化時代の地球にやさしい練習船」をコンセプトに建造された。最新の海洋調査機器を装備するとともに、電気推進による「エコモード」航行、停泊中の陸電プラグインによる船舶アイドリングストップなどが特徴。
  勢水丸
  船名…勢水丸
船種…練習船
船主…国立大学法人 三重大学
建造会社…三菱重工業株式会社 下関造船所
竣工…2009年1月30日
LppxBxDxd…42.50x8.60x3.75x3.30m
総トン数…318トン
速力…12ノット
主機…ディーゼル電気推進 1000kW×1
定員…44名
問い合わせ先
〒105-0012 東京都港区芝大門2-12-9 浜松町矢崎ホワイトビル
(社)日本船舶海洋工学会事務局
TEL:03-3438-2014〜2015 

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