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表彰

シップ・オブ・ザ・イヤー 2010「CITY OF ST. PETERSBURG」に決定

公益社団法人 日本船舶海洋工学会が授賞するシップ・オブ・ザ・イヤーは、毎年日本で建造された話題の船舶の中から、技術的・芸術的・社会的に優れた船を選考して与えられるもので、今年で21回目となり合計8隻(内6隻が本選考進出)の応募があった。
シップ・オブ・ザ・イヤー2010の応募作品発表会と選考委員会は、5月31日(火)に学士会館で開催され、「シップ・オブ・ザ・イヤー2010」には自動車運搬船「CITY OF ST. PETERSBURG」が選ばれた。
また各部門賞には「YAMATAI/YAMATO」(特殊船部門)、「第二ふじ丸」(漁船・作業船部門)、「らいちょうI」(小形客船部門)がそれぞれ選ばれた。
授賞式は、日本マリンエンジニアリング学会のマリンエンジニアリング・オブ・ザ・イヤー2010、および日本航海学会の航海功績賞の表彰と共に、海事三学会合同表彰式として7月22日に海運クラブにおいて行われる予定である。
なお、シップ・オブ・ザ・イヤー選考委員は下記のとおりである。

選考委員会委員(順不同)

平野 拓夫 氏 (委員長) インダストリアル デザイナー
桐島 洋子 氏   作家
税所 史朗 氏   海事プレス社 専務取締役
藤本 逸朗 氏   日本海事新聞社 常務取締役編集局長
青野 由利 氏   毎日新聞社 論説委員
智片 通博 氏   NHKメディアテクノロジー 経営主幹
土井全二郎 氏   日本海洋調査会 代表
種村 国夫 氏   イラストレーター
森本 靖之 氏   日本船長協会 前会長
川崎 和男 氏   大阪大学大学院 教授
三栖 邦博 氏   (株)日建設計 顧問
中川  衛 氏   金沢美術工芸大学 教授
佐藤  功 氏   日本船舶海洋工学会理事(広報担当) (三菱重工業(株))

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シップ・オブ・ザ・イヤー2010 選考経緯

「シップ・オブ・ザ・イヤー2010」には、大型貨物船部門に5隻、特殊船部門、漁船・作業船部門、小型客船部門に各1隻の計8隻の応募があった。これを受けて4月に技術的専門家からなる予備審査委員会が開かれ、この内6隻が本選考委員会に推薦されて5月31日の審査を迎えた。

選考は、学士会館(東京都千代田区)で行われ、各応募船の熱いプレゼンテーションに続き、部屋を移して選考委員会が開催された。13名の選考委員のうち11名が出席、2名が不在者投票を行い、また、選考委員1名は関係機関からの応募船があったため公正を期して投票を棄権、満票で12票ということで審査を開始した。昨年は選考会が学会の講演会場であったため、プレゼンテーション会場の一般学会員からの投票も合わせて1票加算されたが、今回は講演会と時期が異なったため、一般投票は行われなかった。

事前の予備審査委員会での審査項目(技術の独創性・革新性、技術・作品の完成度、社会への波及効果、話題性・アピール度)についての採点、およびコメントも参考にして選考が進められ、昨年と同様、まず全候補作品から最優秀作品一点をシップ・オブ・ザ・イヤーとして選定、その後、応募部門ごとに優秀な作品に対してシップ・オブ・ザ・イヤー部門賞を授与する選考方法とした。

最優秀作品一点の投票の結果、ユニークな球形船首形状で空気抵抗を減らし注目を浴びた「CITY OF ST. PETERSBURG」が全12票中9票を獲得し、空気潤滑による摩擦抵抗の軽減技術を取り入れたモジュール運搬船「YAMATAI/YAMATO」の3票をしのいで、見事シップ・オブ・ザ・イヤー2010に輝いた。

続いて、各部門賞の選考を実施し、特殊船部門の「YAMATAI/YAMATO」がその技術力で満票の12票を獲得、漁船・作業船部門の大型まき網漁船「第二ふじ丸」がヘリコプター運用による魚群探査やわが国漁業経営の明日を担うコンセプトが評価され12票中7票、小形客船部門では日本が世界のトップ技術として誇るリチウムイオン二次電池を搭載した電気推進船「らいちょうI」が12票中10票を獲得し、それぞれ過半数の得票で部門賞に選定された。

選考委員長 平野 拓夫

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受賞作品紹介

シップ・オブ・ザ・イヤー 2010

  「CITY OF ST. PETERSBURG」
本船は風圧抵抗が他の船種に比べて非常に大きい自動車運搬船において、水線上の形状とブリッジ配置も含めた船型の大胆な見直しにより、きわめて風圧抵抗の少ない半球状の船首形状を開発し、省エネルギーとCO2排出量削減を実現した大型貨物船である。
印象的なフォルムをもつ革新的なデザインであるが、半球状という表面積が最小で強度があり、かつ風圧抵抗が減少する性能上のメリットを、PCCの貨物スペースを犠牲にすることなく実際の設計に取り入れ、実現化している。工作上は球面状パネルを、プレスによる曲げ加工で製作することで、ひずみの少ない美しい船体形状を作り出している。
地味な存在になりがちな貨物船に一般の注目を集め、社会に大きくアピールした。
  「CITY OF ST. PETERSBURG」
 
船名
…CITY OF ST. PETERSBURG  
船種…2057RT台積み自動車運搬船
船主…FAIR WIND NAVIGATION S.A.
建造会社…旭洋造船株式会社
竣工年月日…2010年12月22日
LppxBxDxd…131.0x22.4x24.45x6.5m
総トン数…21,143トン
速力…16.9ノット
主機…MAN B&W 7L42MC Mk-6 (6,965kW)
特徴的な構造・艤装品…球状船首、ピラーレス車両甲板、特殊通風ルーバー

特殊船部門賞

  「YAMATAI / YAMATO」
「YAMATAI/YAMATO」は、船の推進抵抗の大部分を占める海水との摩擦抵抗を大幅に低減するため、大型外航船として世界で初めてブロワ(送風機)方式の空気潤滑システムを搭載し、実航海においてその性能を実証したモジュール運搬船である。
空気潤滑システムとは、船首側の船底部から噴き出した空気が、気泡となって船体表面に沿って流れることにより、船体と海水との摩擦抵抗を低減するシステムで、約10%の省エネ効果を目標に開発を行ない、ほぼ計画通りの省エネ効果が確認された。
船底へ空気を送り込むシステムは喫水や速度に応じた制御が可能で、実航海での種々データ収集・解析により、今後他船種にも応用されることが期待される。
  「YAMATAI / YAMATO」
 
船名
…YAMATAI(邪馬台)/ YAMATO(大和)
船種…モジュール運搬船
船主…日之出郵船株式会社
建造会社…三菱重工業株式会社
竣工年月日…2010年4月9日/11月29日
LppxBxDxd…152.6x38.0x9.0x4.5m
総トン数…14,538トン
速力…13.25ノット
主機…Daihatsu 6DKM-36 (2,735kW) x2
積載貨物…モジュール、クレーン等の重量物
特徴的な艤装品…空気潤滑装置

漁船・作業船部門賞

  「第二ふじ丸」
本船は、網目の大きい網を使用して資源管理に配慮することを条件に、水産庁の試験操業許可を得た大型まき網漁船であり、日本のまき網漁船をはるかに上回る大型の外国まき網漁船に対抗する、国際競争力をもったヘリコプター搭載可能な漁船である。
ヘリコプターを利用した魚群探索能力の向上、載荷重量の増加よって漁場と水揚げ港間の航海数を削減しての操業効率の向上、船尾フィン装備による省エネ、冷凍能力向上による製品の付加価値向上を図っており、日本の漁業経営の健全化と水産物の安定供給を実現することが期待される。
  「第二ふじ丸」
 
船名
…第二ふじ丸
船種…ヘリコプター搭載型海外まき網漁船
船主…大洋エーアンドエフ株式会社
建造会社…株式会社三保造船所
竣工年月日…2010年2月9日
LppxBxDxd…70.0x14.0x8.3x5.56m
総トン数…760トン
速力…15.2ノット
主機…赤坂鐵工所 AH41AKED 2,942kW
魚艙容積…1781m3
特徴的な艤装品…ヘリコプター搭載設備、船尾フレンドフィン

小型客船部門賞

  「らいちょう I 」
東京海洋大学が開発した世界初の急速充電対応型電池推進船で、高性能なリチウムイオン二次電池と推進モータを動力としており、従来の内燃機関船に比較して、大幅に騒音や振動を抑え、航行中排気ガスやCO2を出さない特徴を有している。また鉛蓄電池船に比べ、ごく短時間で充電が可能で、実用的な航行速度・距離があり、河川や内海水域での運航に最適な性能を有している。
今後は外洋・実海域への適用など、電池推進船のさらなる普及が期待される。
  「らいちょう I 」
 
船名
…らいちょう I 
船種…電池推進式小型旅客船
船主…東京海洋大学
建造会社…マリン・デザインオフィス、ニュージャパンマリン(株)
竣工年月日…2010年7月8日
LppxBxDxd…10.0x2.33x1.16m
総トン数…2.5トン
速力…10ノット
主機…永久磁石式同期モータ
旅客数…10名
特徴的な艤装品…急速充電対応リチウムイオン電池
問い合わせ先
公益社団法人   日本船舶海洋工学会事務局
〒105-0012 東京都港区芝大門2-12-9 浜松町矢崎ホワイトビル
TEL:03-3438-2014   FAX:03-3438-2016
E-mail:office@jasnaoe.or.jp

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