トップページ > 表彰 > シップ・オブ・ザ・イヤー 2015 カーフェリー「いずみ/ひびき」に決定
公益社団法人 日本船舶海洋工学会が授賞するシップ・オブ・ザ・イヤーは、毎年日本で建造された話題の船舶の中から、技術的・芸術的・社会的に優れた船を選考して与えられるもので、26回目となる今年は合計7隻が選考の対象となりました。
シップ・オブ・ザ・イヤー2015の応募作品発表会と選考委員会は、去る5月31日(火)東京都港区の明治記念館で開催され、「シップ・オブ・ザ・イヤー2015」には、カーフェリー「いずみ / ひびき」が選ばれました。
また日本初のLNG燃料船である曳舟「魁 (SAKIGAKE)」が技術特別賞を受賞し、各部門賞には「MILLAU BRIDGE」(大型貨物船部門)、「なとり」(小型貨物船部門)、「第八十八光洋丸」(漁船・作業船部門)がそれぞれ選ばれました。
授賞式は、日本マリンエンジニアリング学会のマリンエンジニアリング・オブ・ザ・イヤー、および日本航海学会の航海功績賞の表彰と共に、海事三学会合同表彰式として7月7日(木)に海運クラブにおいて執り行われる予定です。
なお、シップ・オブ・ザ・イヤー選考委員は下記のとおりです。
「シップ・オブ・ザ・イヤー2015」には、大型客船部門1隻、小型客船部門1隻、大型貨物船部門2隻、小型貨物船部門1隻、漁船・作業船部門3隻の、計8隻の応募があった。これを受けて4月18日に学会所属の技術専門家からなる予備審査委員会が開かれ、小型客船部門の1隻をのぞく7隻が本選考委員会に推薦された。
応募船の発表会・選考会は、5月31日に明治記念館(東京都港区)で開催され、学会の一般会員も多数聴講する中、各応募船をアピールする熱心なプレゼンテーションが行われ、その後別室にて選考委員会が開催された。全13名の選考委員のうち11名が出席(ただし内1名は公平を期し投票を辞退)、会場の一般会員による投票の最多得票船を1票として加算し、満票で11票ということで審査を開始した。
事前の予備審査委員会での審査結果(技術の独創性・革新性、技術・作品の完成度、社会への波及効果、話題性・アピール度)、およびコメントも参考にして選考が進められ、まず全候補作品から最優秀作品一点をシップ・オブ・ザ・イヤーとして選定し、その後、優秀な作品に対してシップ・オブ・ザ・イヤー部門賞等を授与する選考方法とした。
投票の結果は、大型客船「いずみ/ひびき」、大型貨物船「MILLAU BRIDGE」、漁船・作業船「第八十八光洋丸」、「魁(SAKIGAKE)」の4隻に票が割れたため、この4隻を対象とするさらなる討議と決戦投票を行った結果、瀬戸内海航路で最大級の輸送能力と20%以上の省エネを実現したカーフェリー「いずみ/ひびき」が、見事シップ・オブ・ザ・イヤー2015の栄冠を手にした。なお予備審査委員会の特に技術的に優れているとの評価を受け、日本初のLNG燃料船として環境負荷を低減した「魁 (SAKIGAKE)」には、シップオブザイヤー技術特別賞を贈ることとなった。
続いて、各部門賞の選考を実施し、大型貨物船部門では、国内初のメガコンテナ船で、燃費効率、積付効率を大きく改善した「MILLAU BRIDGE」、小型貨物船部門では、ユニークな球状船首構造を採用した内航コンテナ船「なとり」、漁船・作業船部門では、様々な新技術を搭載した海外巻き網漁船「第八十八光洋丸」が、それぞれ部門賞に選ばれた。
選考委員長 森本 靖之
シップ・オブ・ザ・イヤー 2015 |
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「いずみ/ひびき」 | |
新門司〜泉大津(大阪)航路に就航した瀬戸内航路最大級の貨物輸送能力を有するカーフェリー。大型化し車両搭載能力を大幅に増強する一方、最先端の省エネ技術を数多く導入して20%以上の省エネを達成した。静粛性が高く充実した居住空間を備え、モーダルシフトの担い手として環境負荷低減や地域経済の発展への貢献が期待される。 | |
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技術特別賞 |
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「魁 (SAKIGAKE)」 | |
日本初のLNG 燃料船「魁」は、Dual Fuelエンジンを搭載し、LNG 燃料使用時には重油使用時と比較しCO2 排出量を約30%、NOx 排出量を約80%、SOx 排出量を100%削減することができる環境負荷低減船である。A重油も使用して運航コストを抑制し、船型や堪航性は従来船通りを確保する実用に耐える仕様を実現した。多くの日本メーカー、関係機関の協業により実現した新技術が高く評価された。 | |
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大型貨物船部門賞 |
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「MILLAU BRIDGE」 | |
輸送効率を高める船型の超大型化と、それを実現するために必要な技術を結集した14,000TEU型メガコンテナ船シリーズの第1番船。安全性には特に注力し、厚板ハイテン鋼の採用に伴う規則要求以上の安全設計を行い、建造を実現するため溶接などの周辺技術の開発・整備を行ったほか、様々な省エネ技術を採用している。 | |
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小型貨物船部門賞 |
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「なとり」 | |
正面の風圧抵抗を低減し燃費向上につなげる為、コンテナ船で初めてユニークな球状船首構造を採用。同時に操舵室、居住区を船首に配置し積載効率を向上した。機関では高度船舶安全管理システムを搭載し陸上より24時間監視が可能で、機関の不具合を事前に予知・察知して重大事故を未然に防止する。 | |
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漁船・作業船部門賞 |
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「第八十八光洋丸」 | |
様々な新技術を搭載し建造された海外巻き網漁船。最先端の主機軸発電機・パワーマネージメントシステムと、最新の漁労システムにより安全性、操業効率(省力化)、省エネが飛躍的に高められている。新時代を切り開くモデル漁船として、主漁場の太平洋に加え、インド洋の漁場開拓に挑んでいる。 | |
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