トップページ > 表彰 > シップ・オブ・ザ・イヤー 2016 受賞船
公益社団法人 日本船舶海洋工学会が授賞するシップ・オブ・ザ・イヤーは、毎年日本で建造された話題の船舶の中から、技術的・芸術的・社会的に優れた船を選考して与えられるもので、27回目となる今年は合計9隻が選考の対象となりました。
シップ・オブ・ザ・イヤー2016の応募作品発表会と選考委員会は、去る5月29日東京都港区の明治記念館で開催され、「シップ・オブ・ザ・イヤー2016」には、川崎汽船(株)の自動車運搬船「DRIVE GREEN HIGHWAY」が選ばれました。また世界初のメタノール燃料主機関を搭載した「TARANAKI SUN他2隻」が技術特別賞を受賞しました。
各部門賞には「フェリーしまんと」(大型客船部門)、「ひめしま」(小型客船部門)、「NYK Blue Jay」(大型貨物船部門)、「勇青昇」(小型貨物船部門)、「梅丸」(漁船・作業船部門)、「AUGUST EXPLORER」(特殊船部門)がそれぞれ選ばれました。
授賞式は、日本マリンエンジニアリング学会および日本航海学会の表彰と共に、海事三学会合同表彰式として7月7日に海運クラブにおいて執り行われます。
なお、シップ・オブ・ザ・イヤー選考委員は下記のとおりです。
「シップ・オブ・ザ・イヤー2016」には、大型客船部門1隻、小型客船部門1隻、大型貨物船部門3隻、小型貨物船部門1隻、漁船・作業船部門2隻、特殊船部門1隻の、計9隻の応募があった。これを受けて4月12日に学会所属の技術専門家からなる予備審査委員会が開かれ、9隻すべてが本選考委員会に推薦された。
候補船の発表会・選考会は、5月29日に明治記念館(東京都港区)で開催され、学会の一般会員も多数聴講する中、各応募船をアピールする熱心なプレゼンテーションが行われ、その後別室にて選考委員会が開催された。全13名の選考委員のうち8名が出席、会場に参加した一般会員による投票の最多得票船を1票として加算し、満票で9票ということで審査を開始した。
事前の予備審査委員会での審査結果(技術の独創性・革新性、技術・作品の完成度、社会への波及効果、話題性・アピール度)やコメント、および欠席の委員2名から事前に寄せられた選考意見などを参考として選考が進められ、その後投票に進んだ。まず全候補作品から最優秀作品一点をシップ・オブ・ザ・イヤーとして選定し、その後、優秀な作品に対してシップ・オブ・ザ・イヤー部門賞等を授与する選考方法とした。
投票の結果、環境負荷を低減するさまざまな先進技術を盛り込んだ自動車運搬船「DRIVE GREEN HIGHWAY」が1回目で過半数の6票を獲得し、見事シップ・オブ・ザ・イヤー2016の栄冠を手にした。また、世界初のメタノール燃料主機関を搭載し、予備審査委員会で特に技術的に優れているとの評価を受けた大型貨物船「TARANAKI SUN他2隻」には、シップオブザイヤー技術特別賞を贈ることとなった。
続いて、各部門賞の選考を実施し、大型客船部門賞に「フェリーしまんと」、小型客船部門賞に「ひめしま」、大型貨物船部門賞に「NYK Blue Jay」、小型貨物船部門賞に「勇青昇」、漁船・作業船部門賞に「梅丸」、特殊船部門賞に「AUGUST EXPLORER」が、それぞれ審査委員の過半数の票を得て選考された。
選考委員長 森本 靖之
シップ・オブ・ザ・イヤー 2016 |
|
「DRIVE GREEN HIGHWAY」 | |
7,550台積みの大型自動車運搬船で、川崎汽船が2013年から進めてきた「DRIVE GREEN PROJECT」の集大成となる環境フラッグシップである。環境負荷低減へCO2を削減するさまざまな技術を各部に採用するだけでなく、排気ガス中の大気汚染物質(SOx, NOx)を削減する国際規制を先取りし、環境先進技術の粋を集めた。社会的なアピール度が大きい点も評価された。 | |
|
技術特別賞 |
|
「TARANAKI SUN, MANCHAC SUN, CAJUN SUN」 | |
世界初のメタノール燃料低速ディーゼル主機関を搭載したメタノール運搬船。メタノールはSOxを排出せず、NOx、PM、CO2の排出量も削減できる環境性能に優れた船舶。メタノールの特性に配慮して新たに開発した各種要素技術と機関システム、包括的な安全システムによりメタノール燃料船を実現、その有効性を実証した。 | |
|
大型客船部門賞 |
|
「フェリーしまんと」 | |
省エネ・省力・省メンテナンスを徹底的に追及し、国内海上輸送の物流生産性革命とモーダルシフト推進の旗艦船となることを目指すシンプルなフェリー。省エネ型の船体設計と国内大型フェリーとしては画期的な一機一軸型を採用し、前船に比べ約20%の省エネを実現した。 | |
|
小型客船部門賞 |
|
「ひめしま」 | |
福岡県の離島、糸島・姫島を結ぶ渡船「ひめしま」は、島民らとの綿密なディスカッションのもと、糸島の風景に馴染みながらも存在感のあるデザインと快適な居住空間を目指し設計された。強い横風の吹く本海域を快適に航行するため、横揺れ対策の船型、コンピュータ制御の減揺装置を備えている。 | |
|
大型貨物船部門賞 |
|
「NYK Blue Jay」 | |
世界初のデュアルレーティング(1つのエンジンで2つの出力レンジをもつ)の主機を採用した14,000TEU コンテナ船。High Rating では高速運航が可能な一方、Low Rating では低速運航時の燃費最適運航が可能。Low Rating においては20,000TEU クラスの船と同等の燃費を達成した。 | |
|
小型貨物船部門賞 |
|
「勇青昇」 | |
従来のガットクレーンに代えてバックホウ式揚貨装置を搭載し労働環境の向上を企図した画期的なガット船。土砂・砕石・スラグなどの輸送に従事する他、鋼製風雨密ハッチカバーを備え、塩分等の混入を嫌う高品位材料の輸送にも対応できる。ポンプジェット式スラスタ装置の採用により、高い操船性とノンバラスト運航による省力化を実現している。 | |
|
漁船・作業船部門賞 |
|
「梅丸」 | |
他に類を見ないユニークな円形のタグボート。全旋回型スラスターを被曳航船に外付けするという新しい概念で考案された。船体中央のレックスペラのシングルレバー操作で簡単操船ができ、吸着装置によりタグラインをなくしロープ取りの作業員2名を削減した。 | |
|
特殊船部門賞 |
|
「AUGUST EXPLORER」 | |
海底資源等の調査を行う調査船と領土保全のための建設作業を行う作業船の、二つを一つにまとめた自航式多目的船である。5つのスラスタを使用し高度な定点保持が可能で、広いデッキや500tクレーンを使った様々な業務・工事を、我が国のEEZ全域で行うことができる。我が国の資源調査や開発、港湾建設、災害支援、人材育成等、多用途に役立つことが期待される。 | |
|
■問い合わせ先 公益社団法人 日本船舶海洋工学会事務局 〒105-0012 東京都港区芝大門2-12-9 浜松町矢崎ホワイトビル TEL:03-3438-2014 FAX:03-3438-2016 E-mail:office@jasnaoe.or.jp |