
JABEEが行う技術者教育認定制度は、大学で行われている工学教育が一定の満足すべき水準に達しており、かつ、その教育課程を卒業した者が、技術者として活動するために必要な最低限度の知識と能力を身に付けていることを認定するものである。
また、JABEEによる技術者教育プログラム認定は、技術士の資格とも密接に関係づけられている。認定されたプログラムを文部科学大臣が認定することにより、卒業生は技術士補となる資格を有するとされ、技術士第一次試験が免除される。このため、JABEEの認定を受けた教育プログラムは官報へ掲載されることになる。さらに、英語圏の国々を中心にして発足し現在拡大しつつあるワシントン・アコードに、JABEEは非英語圏の国としては初めて加盟を認められて、JABEEの認定を受けた教育プログラムはこれらの国々において実施されている工学教育との実質的同等性が認められることとなった。
JABEEの審査基準は基準1〜6と補則(分野別要件)から構成され、その意図は、教育として具体的にPDCAサイクル(Plan、Do、Check、Act)が実践され、継続的に教育内容が改善されていることを求めるものである。
PDCAサイクルのPlanに対応する教育プログラムの設計においては、求められる水準を満たすとともに、各大学の歴史や理念を反映した特色あるものであることが推奨されている。また、より高い目標を設定することは各大学の判断に任されている。いずれの場合も、卒業する学生全員が教育目標に掲げた内容を修得していることが、教育成果の保証の観点から求められる。
実際の審査では、造船教育で求められる内容と水準は何か、十分議論し共通認識を得ることが必要である。その上で、受信側は各大学の特徴を生かした特色のある教育プログラムで審査を受け、審査委員は審査に臨むことが必要である。本委員会はこのための支援を行う。

各大学の置かれた状況は様々で、組織や内容が多様な形態を取るようになりつつある。現在求められる造船教育がどのようなものか、大学と産業界との共同による検討を通じて共通認識をもつことが重要である。本委員会は産業界の代表を含む能力開発センター運営委員会と適宜合同会議を開催し、今日の造船教育のあるべき姿を検討し、各大学における教育の改善を支援する。JABEEでは、造船教育は機械および機械関連分野に含まれ、満たすべき要件は「機械および機械関連分野における主要分野と内容要件」として集約されているので、必要に応じて検討結果を分野別要件に反映させる必要が出てくると考えられる。また、技術士試験においても出題の内容や範囲に反映させることが必要になると考えられる。