日本や世界の経済・物流を担い、人々の生活を支える「船を建造する仕事」は、
世界の海を背景にダイナミックな活力に溢れるとともに、大切な任務や使命を伴う重要な職業といえます。
今こそ若い方々にぜひ注目してほしい、夢と熱意とパワーを存分に注げる活躍の舞台です。
またこの仕事を目指すには、実際的な活動も含め特に専門性が高い分野であるため、基本的に造船系の教育コースのある大学で学ぶことからスタートします。
それでは造船の重要性からご紹介します。
日本の造船会社は、実は世界のトップクラス。高い技術力はもちろん、なんといっても建造量は世界の1/3を誇っています。
途上国の経済発展とともに世界中で船の需要が高まり、建造量は年々増えていますが、2006 年の世界の商船建造量 52,118 千総トンのうち、なんと34.9% を日本の造船所が建造しています。
日本は、エネルギー資源から工業原料、衣食住資源まで多くの資源を輸入に頼る一方、大量の工業製品を輸出する貿易立国。そのうち2006年の貿易量の99.7%を支えたのも海上貿易、つまり船の役割だったのです。
輸入にたよる資源や原材料 | 輸出される多くの工業製品 |
---|---|
・原油、石炭、天然ガス等のエネルギー |
・鉄鋼製品 ・機械類 ・自動車 ・電気製品 |
こうした船の設計・建造は造船会社で行います。
ヨットや漁船などの比較的小型の船を造る優秀な会社も多くありますが、今回話題としているのは物流を担う船舶、タンカーやフェリーなどの大型の船を造る会社で、日本では以下の18社となっています。
各社とも大型船の建造のために非常に広い工場を有し、地元では優良な大企業です。
アイ・エイチ・アイ・マリンユナイテッド | 今治造船 | 大島造船所 | |
尾道造船 | 川崎造船 | 幸陽船渠 | 佐世保重工業 |
サノヤス・ヒシノ明昌 | 新来島どっく | 住友重機械マリンエンジニアリング | |
常石造船 | 豊橋造船 | 内海造船 | 名村造船所 |
函館どつく | 三井造船 | 三菱重工業 | ユニバーサル造船 |
安全で有用な船を設計するためには、以下の3つの要素(3S) が重要と言われています。ですのでまずは、この「3S」の理解を深めていくことが大切なポイントとなって、この仕事を目指すために必要な学習分野や科目が設定されていきます。
船の速力は、なんといっても船を取り巻く液体(水)から受ける「抵抗」や「推進」の力に左右されるので、まず「流体力学」という科目で船を取り巻く液体の力学の基礎を学びます。 続いてこの流体力学の延長で、「推進」「抵抗」などのキーワードを含んだ科目を勉強します。
船の強度に関わる内容については、まず「材料力学」という科目から学ぶことになります。巨大な物体としての船の強度の基礎を、この「材料力学」で学びます。 続いてこの材料力学の延長で、「強度」「構造」などのキーワードを含んだ科目を勉強することになります。
実は、船の安定性, 復原性に関わる内容は、造船系の大学のみに必ず用意されており、「静力学」とか「復原」などのキー ワードを含んだ科目から学ぶことになります。続いてこの科目の延長で、「運動」とか「波浪」といったキーワードを含んだ科目を勉強していきます。
造船系の教育コースのある大学は、全国に8つあります。
これらの大学に入ると、先ほど述べた「3S」に関わる内容を系統的に学べ、船を造るために必要な総合的な知識や能力を身に付けることができます。
また、いずれの大学も個性豊かな実験水槽を持っており、さまざまな実験を行うことができます。
以下に、各大学の簡単な紹介を載せています。研究内容もほんの一部なので、詳しくは各大学のHPをご覧ください。
http://www.naoe.eng.osaka-u.ac.jp/
船舶海洋試験水槽
http://www.marine.osakafu-u.ac.jp/
曳航水槽
http://www.nams.kyushu-u.ac.jp/undergrad/
船舶運動性能試験水槽
津波実験水槽
システム創成学専攻: http://www.sys.t.u-tokyo.ac.jp/
海洋技術環境学専攻: http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/otpe/
船型試験水槽
船舶海洋試験水槽
http://eng4.hiroshima-u.ac.jp/vesp/
曳航水槽
大型海洋波再現実験水槽