船舶の艤装品機器類に取り付けられる銘板や、船内掲示用図面などを対象に、大島造船所の子会社・大島エンジニアリング(株)では、耐久性に優れ、高品質、安価、短納期などの特徴を持つ新型銘板を商品開発し、これまで 100 年以上にわたって使われてきたエッチング銘板に替わる次世代の銘板として、販売事業を展開しております。
カラー銘板の例[拡大画像] |
金属板に塗布した感光剤を感光させ、化学薬液処理により金属面に浸食形成された凹みにエナメルインクを入れる、エッチング工法が従来の主流でしたが、新型銘板では、表面に硬質の樹脂層を有するカラー金属板に、プリンタで印刷した転写紙のインクを熱転写する、"昇華熱転写" といわれる工法を採用しています。浸透したインクを金属板表面の樹脂層内に浸透定着させる方式です。
中心部に管理情報が記入された銘板[拡大画像] |
バルブへの設置例[拡大画像] |
各素材への印刷例(1) 蓄光フィルム[拡大画像] |
各素材への印刷例(2) アルミ板[拡大画像] |
インク成分には紫外線カット剤を含有し耐光性を持たせ、樹脂コーティングされた金属板は暴露部での耐食性、とくに耐海水性に優れており、金属板が錆びて文字が判読不能になってしまうことはありません。その優れた防食性・耐候性は、厳しい防食試験・耐候試験の結果によって実証されています。
新型銘板の昇華熱転写工法は、従来のエッチング工法と異なり、文字数や色数が印刷コストに影響しません。また、フルカラー写真画像の印刷も可能なため、表現力が非常に豊かです。従来同様の視認性に加え、銘板に管理情報を印字したり、系統別で色分けすることで、仕分け作業など管理面での負担を軽減し、誤作防止にも大いに貢献します。EXCEL の銘板リストから自動作画プログラムにより、写真のような銘板図が作成されます。
従来のエッチング工法が、製作過程でさまざまな化学薬剤を必要とし、また銘板の廃棄時には毒性中和処理が必要だったのに対し、本製品は化学処理工程や有害物質とも無縁なため、リサイクル可能な、現代にふさわしい環境性能を実現しております。
大島造船所では、2004 年 11 月より新型銘板を実用化しており、その結果、現場からの記載追加・変更の要求は激減しており、毎船 1,000 枚以上におよぶ銘板を、取り付け区画別に仕分けるといった集配作業の軽減化など、新型銘板の効果が現れています。インターネット上で稼働できる銘板設計支援プログラム、「造船らくらく銘板」システムも、今後展開していく予定です。
日本船舶表示(株)が、本方式の舶用銘板類や掲示用図面のメーカーです。