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75PC (石油精製品運搬船) 乗船記

尾道造船(株)設計部 織田健爾

この度、当社建造の 75,000DWT 型 Product Carrier に、使用実態・改善点等の調査のため、引渡後 39 日間乗船しました。韓国・フィリピン・シンガポール・インド・UAE を経て 2 度目のインドで下船し帰国するまで、様々な発見がありました。

航路と日程
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荷役などの各 Operation は乗組員にとっては日常茶飯事のようで、私 1 人が初めてのため面白がっていました。中でも最初のインドの SBM (Single Buoy Mooring) 方式は興味深く、陸から 4km 沖のブイに船首で 1 点係留しながらの荷役で、船尾ではタグが常時待機していました。船体中央付近では海面に浮いている荷役用ホースを、人が泳いで (小さな足ひれだけ付けて上は T シャツみたいな格好) 本船クレーンのフックにホースを架けて引き上げていました。この港は積荷だったのですが、一旦 Terminal から SBM までのホース内の液体を本船のタンクに揚げて、本来の荷を積んだ後に、再度液体をホースに戻す、という作業をしていました。

またフィリピンで上陸した時には、殆どの人がタガログ語以外に英語を普通に話せるのに驚きました。海外での就労や国際結婚も多く、英語を使う機会が多いようです。一方、学校で詰め込まれていながら、街で出会った外国人に対しても殆ど英語が通じない日本を思い出し、「習うより慣れろ」の国レベルでの実証実験の結果を見たような気がしました。ちなみに、近頃は中国へ英語の先生として働きに出る人が増えているそうです。

インド洋に沈む夕日
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今回の乗船中最大の発見は、各 Operation や航海がトラブル無く順調に進んでいくのを見て、自社の船が「いい船だ」という確信を持てたことです。これについては、乗組員に「Good Vessel だ」と様々な場面で言われたことや、韓国の Terminal の監督 (元 Tanker の C/O) に「荷役後に Captain と C/O が笑っているのがいい船である何よりの証拠だ」と言われたことも強く印象に残っています。

また、これは乗組員 (インド人士官 5 名、フィリピン人 19 名) の殆どが Tanker 乗船経験者で、業務に十分習熟していたことにも依ると思います。彼らは安全確実な Operation は勿論のこと、多少のトラブルにも「この程度は自分達で直せる」という技量も高く、保証技師として乗った私の出番はあまりありませんでした。「補償クレームの量は船員の質にも依る」ということが分かりました。

そんな彼らも、昼夜・休日なしで家族とも離れた生活には時々愚痴をこぼしていました。確かに肉体的にも精神的にも乗組員の生活は大変だと分かり、造船所として安全面や機器の信頼性、利便性や快適性など更なる改良の必要性を感じました。

全てにおいて「知識で知っている」のと「体験し実感する」のでは大きな違いで、実りの多い航海でした。機会を与えて下さった船主殿はじめ会社・関係者の皆様に心から感謝いたします。


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