建造船紹介 : 53,000DWT 型プロダクトタンカー
(株)新来島どっく基本設計部 重光健太郎
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53,000DWT 型プロダクトタンカー[拡大画像] |
(株)新来島どっくで建造しています 53,000DWT 型プロダクトタンカーの紹介を致します。
本船は、燃料油、ジェット燃料、ナフサ等の石油精製品及び原油を積載・運搬することを主目的として建造された 53,000DWT 型ダブルハルタンカーです。このサイズのプロダクトタンカーは、通常 MR (Medium Range) と呼ばれており、本船はこの MR では最大級のサイズとなっています。
さて、当社建造の 53,000DWT 型プロダクトタンカーは、従来船に比べて以下のような優れた特徴があります。
- カーゴタンク (12 タンク)、スロップタンク (2 タンク) の他に残留物タンク (Residual Tank) を備え、環境負荷の低減を考慮したタンク構成としています。
- カーゴタンク内の隔壁は縦コルゲート形状と上部及び下部スツールで構成され、外板側はダブルハル・ダブルボトム形状となっています。また、デッキロンジ及びトランスガ−ダーを上甲板上に設置することにより、カーゴタンク内に船殻部材のまったく無い構造として、カーゴタンクの塗装面積削減とタンク洗浄が容易にできるよう考慮しています。カーゴタンク内に船殻部材が無いため、タンク内に附着・残留するカーゴオイルが大幅に減少し、カーゴオイルを無駄無く荷揚げすることが可能です。
- カーゴタンク内隔壁の下部スツールは、その内部をパイプスペースとしているのでカーゴタンク内にはパイプが無く、カーゴラインの省メインテナンスを実現しています。
- カーゴポンプは電動モーター駆動としており、一般に採用されている蒸気タービン駆動ポンプに比べポンプの始動が容易で、格段の操作性、安全性、省メインテナンス、省エネを実現しています。また、カーゴポンプ駆動用電動モーターはサイリスタインバーター制御としており、回転数の微調整が可能で、最適な設定が選択できます。
- 推進抵抗の小さい船型にするとともに、高推進効率タイプのプロペラ、プロペラ付加物 (TURBO-RING) 及び当社開発の "A.S.FIN" (特許取得済) を採用して省エネ化を図っています。
- 機関室消火装置には CO2 消火装置ではなく、高膨張泡消火装置を採用するなど環境に配慮した船となっています。
本船型は、(株)新来島どっく大西工場において連続建造中であり、その 1 番船は 2006 年 2 月に引渡しが行われました。現在は 3 隻目を建造しており、今後も多数を建造する予定となっています。
本船の主要目は下記に示す通りです。
全長 | 約 185.9m |
型幅 | 32.20m |
型深 | 19.67m |
満載喫水 | 13.00m |
載貨重量 | 約 53,000t |
主機 | 6UEC60LS |
船級 | NK |
定員 | 25 名 |