今回は、川崎汽船株式会社殿から 8 隻受注した 8,000 個積みの世界最大級コンテナ船について紹介いたします。本シリーズの 1 番船は 2006 年 10 月 31 日、2番船は2006 年 11 月 27 日に引渡しが完了し、欧州〜アジア航路に投入されたところです。残りの6隻も当社 呉工場にて引渡しへ向け建造中です。
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本船の全景[拡大画像] |
本船の船型は、弊社で建造した前シリーズのコンテナ船 (レーデライ・ブルースター社から 8 隻受注した 7,500 個積みコンテナ船) と比べて、船幅が約 3m 広くなっています。幅広船型とすることで船の復原性が大幅に向上しています。これまで、船の重心を下げるために出港時 (燃料満載時) でもバラスト水を積んでいましたが、幅広船型としたことにより、出港時に復原性確保のためのバラスト水を積む必要がなくなりました。これに伴い、不要となったバラスト分だけ排水量を減らすことが可能となり、コンテナ積み個数を増やしても、十分な推進性能を確保できる船型が実現しました。さらに、当社の技術を集めた船型開発により、荷入りコンテナ積み個数が多く、かつ推進性能が良い船となりました。
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林立するラッシングブリッジ[拡大画像] |
コンテナ積載ホールド内にはセルガイド、甲板上にはラッシングブリッジを装備しています。ホールド内 9 段、上甲板上は 6 段までコンテナの積載可能で、20 フィートコンテナ換算で最大 8,212 個の積載能力を有しています。
主機は、B&W 12K98ME 型エンジン (最大出力 67,270kW) を採用しています。この主機は電子制御にて燃料噴射タイミングを最適化し、燃焼効率の向上と排ガス中の窒素酸化物やばい煙の削減を図っています。また、低硫黄燃料タンクを装備し、航行海域によって硫黄分の少ない燃料を使い分け、排ガス中に含まれる硫黄生成物を減らすことができます。
燃料タンクは、横置水密隔壁を二重構造にした部分と二重底内に設け、二重化又はハイドロバランスにより、衝突や座礁時に油が海洋に流出する危険性を大幅に低減させることができます。また、近年、バラスト水に含まれる微生物が、バラスト水を排出した海域の生態系を破壊する問題により、各国港湾内でのバラスト水排出が規制されていますが、本船は出港時に微生物を含んだバラスト水を積む必要がないため、この問題を根本から解決しています。
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操舵室[拡大画像] |
操舵室は、無線通信機器、航海計器および主機関制御卓等が機能的に配置され、安全に航海ができるように計画されました。さらに、AIS(船舶自動識別装置)を搭載し、レーダーおよびECDIS(電子海図表示装置)画面上に他船の船名等を表示できます。
本船の主要目は以下の通りです。
全長 | 336.00m | |
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垂線間長 | 318.30m | |
型幅 | 45.80m | |
型深さ | 24.40m | |
夏期満載喫水 (型) | 14.00m | |
総トン数 | 約 98,700 トン | |
載貨重量 | 約 96,700 メトリックトン | |
船級 | NK | |
乗組定員 | 28人 | |
主機 | 型式 | B&W 12K98ME |
最大連続出力 | 67,270kW at 93.4 rpm | |
航海速力 | 24.5knot |