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E - ディフェンス [拡大画像] |
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アクチュエータの大きさ[拡大画像] |
「実大三次元震動破壊実験装置 (通称:E - ディフェンス)」は(独)防災科学技術研究所向けに当所が平成 7 年から 10 年間の歳月をかけて参画したプロジェクトです。この震動試験装置は兵庫県三木市に建設され、現在世界最大の三次元震動試験装置です。
このプロジェクトのコンセプトは、実大構造物 (鉄筋コンクリートビル 6 階建相当) に阪神・淡路大震災並の震動加速度で加振を行い、構造物が如何にして壊れるのか、どこまで壊れるのか、何故壊れるのかを突き止めるというものです。今までの震動試験装置は試験体が壊れないことを検証するために造られたのに対して、この震動試験装置は試験体を壊すことを前提としている事が大きく異なっています。もちろん、この背景にはみなさんもご存知のように阪神・淡路大震災で神戸という大都市が未曾有の人的、物的被害を受けたことによります。
本施設の主な仕様は次のようになります。
震動台テーブル | 20m × 15m |
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最大搭載質量 | 1,200TON |
加振機 | 水平加振機 10 台、垂直加振機 14 台 |
駆動方式 | アキュムレータ蓄圧 / 電気油圧制御 |
加振方向 | 三次元 (X, Y, Z 方向及び各軸回転方向) |
加振能力 | 図参照 |
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検証テスト風景 [拡大画像] |
当所でもそれまで多くの震動試験装置を製作した実績がありましたが、このコンセプトを実現するためには多くの要素技術の開発が必要でした。特に要となる加振機構には実際にプロトタイプを製作し、所内にて確証試験を実施しました。私は主に機械系の設計を担当していたのですが、特に苦労したのは設計上、加振機や継手の大きさが直径約 2m、長さが約 10m と相当巨大なものになる一方、その精度は数ミクロンが要求されることでした。そうでなければ、シール特性や摩擦特性を実現できず、性能を発揮させることができないからです。シールや軸受の方も通常では考えられないピストンの撓みや剛性などを考慮しなければならず、何度も試験と解析を繰り返して実現できました。
この施設は平成 17 年に完成し、現在、様々な試験が行われています。読者の皆さんもテレビのニュースなどでテーブルの上に実際の家屋が試験体として搭載され、加振試験により轟音とともに倒壊していくシーンを見たことがあると思います。これら究極の検証の成果は国内だけでなく、世界の地震防災、耐震工学の関係者からも注目されております。更に詳しい情報は(独)防災科学技術研究所のホームページに掲載されていますので、是非一度閲覧してみてください。