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新造船紹介 : 76,500DWT 型石炭専用船

佐世保重工業(株)造船設計部 永野 卓
船尾形状と針路安定性
海上試運転中のS750 番船の同型船[拡大画像]

現在弊社で建造中の S750 番船 76,500 トン型石炭専用船を紹介します。本船は 2006 年 6 月起工、2007 年 10 月の進水を経て、2007 年 11 月に引渡しを行う予定です。

石炭 (coal) は、太古の植物などが地中に埋もれ、長い期間地熱や地圧を受け炭化することにより生成し、炭素のほか、燃焼成分として水素と酸素、他に硫黄、灰分、水分などを含有する物質です。

石炭専用船は石油代替エネルギーとして近年注目が集まる電力用石炭の輸送に活躍する専用船のことです。本船の設計にあたっては国内の火力発電所の専用バースのサイズに合わせた船型や喫水、バースに備え付けられた揚炭機の可動範囲に合わせたハッチ構成など、日本の発電所向けの輸送に最適な船として設計しています。

本船の貨物艙構造は、トップサイドタンク、ビルジホッパーを有するダブルボットム構造としています。荷役時に発生する赤水が湾内へ流出することを防止するためにスロップタンクを設けており赤水を回収できるようにしています。また、スロップタンクにはホールド内のビルジを溜めることができる配管を設けています。

本船は弊社で PMA (固定点検足場) 規則を適用した最初の船であり、ビルジホッパータンクに固定点検足場を設けています。カーゴホールド部の点検設備に可動式の梯子を採用することにより、点検設備自体のメンテナンス等による船主、船員への負担を軽減させています。

本船は前述の通り火力発電所への石炭輸送を主目的として設計された船のため、日本の秋田県能代市能代港への着岸も考慮して、ユニバーサルフェアリーダーを標準装備し、冬の能代港の厳しい海象に対応できる仕様としています。

主機関のシリンダー注油装置には、機械式ではなく電気制御式のアルファ注油器を採用することによりシリンダーオイル消費量を削減し、運航コストの削減に寄与すると共に排気エミッションの低減にも効果が期待されます。また、船尾管にエアタイプのシールを採用することにより、環境にやさしい船です。

本船の主要目は以下の通りです。

全長 229.00m
垂線間長 218.00m
型幅 36.50m
型深さ 18.50m
計画満載喫水(型) 12.80m
載貨重量 約 76,500 メトリックトン
船級 NK
主機型式 B&W5S60MC
連続最大出力 9,855kW x 102.0min-1

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永野 卓
佐世保重工業(株) 造船設計部 基本計画課
船体計画

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