長崎総合科学大学工学部機械工学科矢島・渡邊研究室では、数年前から韓国・釜山大学校 工科大学との交流を続けている。今年は長崎大学の参加を得て、船舶関係の研究室が集り、阿蘇で 2 泊 3 日のサマーセミナーを行なった。
参加したのは
の総勢 39 名で、会場として三菱重工業(株)の阿蘇高原クラブをお借りして行なった。
研究発表会[拡大画像] |
今回のセミナーでは、夜は会議室での研究発表会、昼は野外セミナーを行なった。
研究発表会は、各大学の学生が現在の研究テーマに基づきプレゼンテーションすることとし、学会の講演会形式で発表、質問を行なった。1 日目、2 日目合わせて、13 名が 9 テーマにつき発表したが、言語を英語に限定したため、特に質疑応答に苦労していたが、有意義なセミナーであった。
第 1 日目のセミナー終了後、懇親会を開催した。セミナーの学術的な話と打って変わり、アルコールの影響もあり片言の英語を駆使しながらも、コミュニケーションが進み、和やかで意義ある時間がもてた。韓国の学生は、兵役の関係で日本の学生より年上であり、酒も強く豪快な飲みっぷりであった。
今回の旅行を通じて感じたことであるが、国民性に加え、この兵役の経験は、日本の学生の数段上を行く、規律ある団体行動に如実に表れていることを付記しておく。
大観峰にて[拡大画像] |
2 日目は朝から阿蘇の大自然に親しんだ。朝から阿蘇中岳には雲がかかっていたため予定を変更し、まず大観峰での雄大な景色を楽しんだ後、焼肉食べ放題の昼食を取った。この作戦が功を奏し、午後には中岳の雲は取り払われ、風向きも幸運し、火口の神秘さを充分に堪能できた。韓国の学生は火山を始めて目の当たりにし、自然の壮大さに感動したようであった。
第 2 日の夜もセミナーを行なったが、もうこのころには学生同士の親密さも増し、あだ名で呼び合ったり、メールアドレスを交換したりするほどであった。
宿舎は前述のごとく、三菱重工鰍フ阿蘇高原荘をお借りしたが、60 人ほど入れる会議室やプロジェクターなどの備品も無料で貸していただくなど大変お世話になった。宿泊設備もきれいであり、次の機会にもまた利用させて戴きたい。この場を借りて改めて御礼を申し上げる次第である。
3 日目の朝、宿舎を出発し福岡経由で長崎に向かった。韓国の学生とは、帰国前の博多でのショッピングの時間を取るため天神でお別れした。来年の韓国での再会を約束したのは言うまでもない。
2 泊 3 日の短期間のセミナーであったが、言語と習慣のことなる学生間で交流が出来たことは、学生たちの将来にとり非常に有意義なことであったと思う。学生がこの経験を生かして国際人として活躍してくれることを願う次第である。
なお、今回のセミナーに関わる韓国学生の旅費・宿泊費は国より補助があったとのこと。釜山大学学生は、昨年末にも来日し、日本の造船系大学、造船所を見学旅行しており、造船技術に対する国の手厚い支援は、うらやましい限りである。
渡邊栄一 長崎総合科学大学工学部機械工学科 教授 応用破壊力学研究室 構造強度・材料力学 |