私は、当社の海外対応力強化を目的とした教育プログラムの一環である短期海外研修制度を利用して、2007 年 9 月末から 12 月末までの約 3 ヶ月間をイギリスの首都ロンドンに滞在いたしましたので、ロンドンの様子について紹介したいと思います。 | |
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研修先はシティと呼ばれる中心部でしたが、滞在したのは地下鉄で約 30 分程度離れたところで、フラットを借りて過ごしました。海外で生活する上で心配なのはやはり治安ですが、ロンドンの治安は比較的良く、危険と言われている場所を避ければ安心して過ごす事が出来るという印象です。一方物価の高さは相当なもので、平均的な家賃が東京に比べて約 2 倍、外食する費用も同様に高く、1 ポンド 100円〜150 円程度のつもりであきらめないと何も買えなくなります。ちなみに私が滞在した期間は不運にもポンドが高い時期で 240 円程度でした。食事の方は、単身だったこともあって外食することも多かったのですが、予想に反しておいしく食べられました。ロンドンにはいろいろな国からの移民が大勢住んでいるため、イギリス、イタリア、インド、中華料理店などはどこにでもありますし、味も本場に近いのではと思われます。 ロンドンの町は、古い歴史的な建物はそのまま残された中に、近代的な建物が加えられ、それらがうまく調和し、美しい景観が保たれています。その街の中を有名なダブルデッカーバスが通っています。A to Z と呼ばれる通りが全て記載された地図を見ながらダブルデッカーの二階に乗って通りを眺めれば、美しい景観を眺めつつ自然に地理も頭に入っていきます。ロンドンは大都市で地価の高騰が問題になっているにもかかわらず、中心部に大きな公園が幾つもあり、そこでは街中の喧騒を忘れることが出来、のんびりとした休日を過ごしていると心が豊かになるような気がします。また、ロンドンには海が無いため、生活をしている中で船や海といったものを感じることは出来ませんが、ロンドンを横断するテムズ川は船が行き来していたり、ベルファスト号があったりと多少雰囲気を感じる事ができます。 |
近代的な建築物ガーキン[拡大画像] リージェンツパークにて[拡大画像] テムズ川にかかるタワーブリッジ [拡大画像] グリニッジから街を眺めて[拡大画像] |
通勤は地下鉄を利用していましたが、ロンドンの地下鉄は Tube と呼ばれトンネルの形状に合わせて電車の断面も丸っこく Tube という名称がぴったりとしています。この地下鉄、1860 年代に開通し当時は蒸気機関車が通っていたというのには驚きます。ロンドンの地下鉄とバスはオイスターカードという IC カード (東京でいう SUICA) を使うことで非常に割安になります。例えば地下鉄の場合普通に乗ると 4 ポンドかかりますが、オイスターカードを使えば 2〜3 ポンドになり、ロンドンで地下鉄やバスを利用する人には必須アイテムです。 ロンドンでは現地で実際に働きながらの研修でしたが、シティー界隈で働くロンドンの人 (ロンドナーと呼ぶようです) を見て感じたのは、合理的で自己責任が強いことです。仕事上ももちろんですが、普段の生活でも同様で、例えば車が来てなければ赤であろうが通りを渡っていきます (赤で待っているのは日本人とドイツ人だけだそうです)。また、ロンドンの人はほとんど傘を差しません。ロンドンは雨が多いのですがそのほとんどが小雨だということと、天気が変わりやすく突然降り始めることが多いため傘を持ち歩かず、濡れても襟を立て平気に颯爽と歩いています。私もロンドナー目指してこのような生活をしていましたが、一旦慣れてしまうと、帰国後信号を待つことにイライラします。 言葉は当然英語なのですが、色々な国から移民が多く入国しているため、街を歩いていると英語以外の言語が聞こえてくる事の方が多いという印象を受けます。また、ロンドンの英語は独特で慣れないと分かりにくいのに加え、地方出身の人たちの方言は更に分かりにくいため、英語に聞こえない事もあります。英語を母国語としている人同士でも通じにくいこともあるということで、余りにも分からない相手の時はなまりのせいだと多少自分を慰め気にしないようにしていました。 ロンドンは今、4 年後に控えたオリンピックに向け再開発が進んでおり、次はまた違った印象を受けるのではと楽しみにしています。皆様ももしロンドンに行く機会があれば是非オイスターカードを持ってダブルデッカーの 2 階に乗ってロンドンの街をながめてゆっくりと過ごしてみてはいかがでしょうか。 |
田村 浩 三菱重工業(株)長崎造船所造船設計部 基本設計 |