大島造船所では、主力であるバルクキャリアの他に、橋梁や浮桟橋などの鋼構造物の製作も行っています。ここでは当社が施工した一風変わった橋梁「奥野橋」を紹介します。 |
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奥野橋は、長崎県の西彼杵半島北部に位置する西海市西彼町と同市西海町を結ぶ全長 13.76km の農道にあり、西海町奥野地区に架けられた橋長 70.5m の鋼 2 主桁ケーブルトラスト橋です。当初は 2 径間のコンクリート桁橋 (中央に橋脚がある計画) として設計され、両岸の橋台は工事が進んでいました。しかしながら、途中で本橋の架橋位置が西海市の水源であるダムに流れ込む河川をまたいでいることから、橋脚が設置できないことになり、単支間の鋼橋への転換となったという背景があります。 |
![]() 構造概念図[拡大画像] |
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支点間隔が 70m 近くありますので、一般的な鈑桁 (主桁の断面が I 形のもの) は応力上の限界から適用できません。そこで、支間中央部に設置したポストと主桁両端の間にケーブルを張って一種のトラス構造を形成し、このケーブルに張力を導入 (プレストレス) することにより主桁の応力を調整する "ケーブルトラスト橋" という構造が採用されました。 |
![]() 着工前の現場状況[拡大画像] |
![]() 着工後の現場状況[拡大画像] |
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日本では 3 例目となる非常に珍しい橋梁形式なのですが、なにせ山奥にあるうえ、橋を側面から眺めるスポットもなく、農道であるため交通量も少ないという大変恵まれない(?)立地条件で、知る人ぞ知る山奥の橋となっているのが、ただ一つ残念なところです。 |
![]() 架橋位置[拡大画像] |
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前田 穣 (株)大島造船所 鉄構部 鉄構設計課 橋梁・鋼構造物 |
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