JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)殿の委託調査の一環として、本年1月、アメリカ〜カナダに10日間の海外調査に行ってきたので、最新のアメリカ事情(というほど大それたものではないですが)を紹介します。
アメリカ入りしたのは、1月20日。覚えていますか?オバマ大統領就任式の日です。「セキュリティ・チェック、厳しいだろうなあ」とビクビクしながら(その必要はないはずですが…)シアトル国際空港に下り立つと、意外なほど何事もなく入国。先ずは、ホテルにチェックインしたのですが、ちょうど就任式のTV中継の時間で、ロビーのTVの前には人だかり。さすがに、盛り上がっているな、と関心していましたが、オバマさんが登場すると、ソファにふんぞり返っていた人も含め、全員スタンダップ&アプローズ!!国の新しいリーダーの誕生をみんなで祝えることに羨ましさを感じてしまった。
バンクーバー五輪マスコットMIGA [拡大画像] |
シアトルでは、海底探査機器を製造してるWILLIAMSON&ASSOCIATES社を訪問し、最新の海底資源探査機器を見学。翌日は、世界一美しいと言われるバンクーバーへ。バンクーバーと言えば、冬季五輪、真央ちゃん。僕らが訪問した翌週に、四大陸大会でバンクーバーで滑っていたのですが、残念ながら会えなかった(当たり前か)。今シーズンは苦しんだけど、来年の本番では、タラソワ・コーチの超難度プログラムを完璧にこなして欲しいものです。バンクーバーでは、電磁力により海底下の鉱物資源量を測定するOCEAN FLOOR GEOPHYSICS社を訪問。社と言っても、いくつかの会社のアライアンスで運営している会社で、熱水鉱床の資源量探査において、実績をあげている。
シアトルの次は、WBCの予選ラウンドや為末選手の練習拠点となり、何かと話題のサンディエゴ。メキシコが近くなり、ぐっと暖かく、トロピカルになる。飛行場で拾ったケニア移民のタクシードライバーは、新大統領の就任を興奮してまくし立てる。ここでも、オバマ!因みに、ケニアと言えば、長距離の国だが、このドライバーは、メタボ気味で、あまり速そうではなかった。サンディエゴでは、スクリプス海洋研究所を訪問。海洋研究船について、元船長、テクニカル・ディレクタより話を聞いた。
ところで、アメリカ、カナダでは、タクシー・ドイライバーのほとんどが携帯電話のヘッドセットを付けていて、運転中にも、べちゃべちゃ喋っている。安全運転に徹してもらいたいものだが、ここで聞こえてくるのは、78%が英語以外。中高年の方には「人種のるつぼ」、若手の方には「人種のサラダボウル」といったところか。
HIGLEYさんの一人乗潜水艇 [拡大画像] |
さて、行程の後半は、ヒューストン〜ダラス。ここは、想像以上の車社会にびっくり。これまで訪問経験のある、NY、ロス、シスコ、サンディエゴ等は、公共の交通機関で一人で不自由なく移動できたが、ヒューストンは、バスも地下鉄も、ほとんどない。どこに行くのも車。片側8車線の道路が朝夕は渋滞するし、道路を歩いている人もいないし・・・。ダラスに行った折、空港に着いて、訪問先のSPECIALTY DEVICES(SDI)社に連絡すると、「分かった。分かった。迎えに行くから、ちょっと待ってて…1時間」。待つこと、1時間、社長婦人が迎えに来てくれ、ダラス郊外のワイリーという街まで延々とハイウェイをぶっ飛ばす。途中、GEORGE BUSH TURNPIKEを通過。パパ・ブッシュの話になり、婦人がぼそっと「I believe he was a good man」。ここでは、オバマ新大統領の話題を避けたことはいうまでもない。SDI社は、様々な海洋観測機器、ROVなどを作っているが、社長のMr.HIGLEYは、モノ作り大好き人間で、その昔は、一人乗りの潜水艇を作ったこともあり、テストパイロットも自分自身。アメリカにも、このような日本の町工場的なメーカーがあることに感心。ただ、この町工場は只者ではなく、帰りに送ってくれた車に、電話がかかってきたが、相手は…US.NAVYだった。
ヒューストンでは、石油掘削関連機器のメーカー(VETCOGRAY、Cameron、Hydril)、エンジニアリング会社(Technip)、ROVを使った海底掘削装置メーカー(Seafloor Geoservices)を訪問。Technip訪問の際、一人の日本人が別行動となり、新オフィスを訪問すると、実は打合せは旧オフィスであること判明。受付のお姉さんに聞いたところ、「駐車場を出て、右に行ったら、すぐ」と言われ、駐車場を出て、てくてく歩き始めると、それらしき建物が。「すぐ」を信じて、歩くこと15分。ようやく打合せ場所にたどり着いた。現地の人に話してみると、お姉さんにしてみれば、訪問者は、当然、車で来ていると思って回答しただろうとのこと…。Seafloor Geoservicesでは、アポの事務所に行ってみると、10頭身くらいの女性が出てきて、「事務所が狭いので、打合せは工場のほうで。車で10分位ね」。幸い、我々は1日貸切のタクシーを雇っていたので、慌てて呼び戻し、下関から小倉くらいはありそうな距離をすっ飛ばし、ようやく到着。流しのタクシーが通っているようなところじゃないし、危ないところだった。やはり、車がないとやっていけない!!
半端ではないサイズのTボーン・ステーキを食べたり、NASAのスペースセンターで、宇宙開発のの歴史にふれた1週間だったが、"テキサス・ブロンコ"テリー・ファンク(ちと古いか?)、"テキサス・ハリケーン"スティーヴィー・レイ・ヴォーン(ちとマニアックか?)といったサブカルチャーにも触れてみたかったが、残念ながら、前述の通り、一人でふらふら出歩くすべがなく、上品な所しか行くことが出来なかったのが心残り。次回は、是非、ダウンタウンにも足を伸ばしたいと思いつつ、LA経由、帰路に着いた。
磨田 徹 三菱重工業(株)下関造船所 船舶・海洋部電装設計課 船舶電気設計 |