海上試運転中のS775番船 [拡大画像] |
本年9月に竣工しましたS775番船180,000トン型ケープサイズバルクキャリアを紹介します。
2009年3月に起工し、2009年6月の進水を経て、2009年9月に無事に引渡しを終えた本船は、当社におけるケープサイズバルカーのシリーズ1番船であり、CSR (Common Structural Rule : 共通構造規則) を適用したケープサイズバルカーとしては日本の造船所で最初に完工した船です。またPSPC (Performance Standard for Protective Coating : バラストタンク塗装基準) の規則を完全適用した国内初の船舶でもあります。
CSRの適用については、設計開始時点ではルール計算のためのソフトウェアも未完成の状態の中でのスタートとなり、ルールの解釈も確定しておらず船級協会とも何度も議論を重ねながらの設計となりましたが、これらの苦難を乗り越えることでCSR適用1番船という名誉な記録を得ることができました。
またPSPCの適用においては船主・船級協会・塗料メーカと十分な協議を幾度も繰り返しながら作業を進めました。滞りなく完工を迎えることができ、船主からも十分な評価を受けることができました。これは弊社の技術力の高さを示すものと思っています。
この他の特徴として、本船の載貨重量は18万トンで、このクラスとしては最大級の載貨重量を有しており、ダンケルク港の港湾条件を満足したAir draftおよび喫水を確保しています。資源輸送において主要貨物である石炭および鉱石を主として運ぶよう設計されていますが、鉱石や石炭以外に穀物積みも可能となるよう考慮した設計をしており汎用性の優れた船です。
省エネ対策として、省エネ船型を開発し、弊社にて独自開発した船尾付加物の省エネフィン (SS-Fin) を装備し、さらに低回転主機、大直径プロペラを装備することで省エネ効果の向上を図っています。
そのほか、本船はPMA (固定点検足場) 規則を適用し、ビルジホッパータンクに固定点検足場を設けています。カーゴホールド部の点検設備には可動式の梯子を採用することにより、点検設備自体のメンテナンス等による船主、船員への負担を軽減させています。
居住区にはバラスト弁遠隔操作盤を設け、バラストタンク内のリモコンバルブの遠隔操作を可能とし、バラスト水の注排水時におけるスタッフの省力化を図ると共にバラストタンク、燃料タンクに遠隔レベルゲージを装備して荷役時の遠隔監視と操作性も向上させています。
またWheelhouseの四周には可能な限り窓を配置することで良好な視界の確保が期待でき、操作性および操船性の向上を図っている船です。
本船の主要目は以下の通りです
全長 | 292.00m |
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垂線間長 | 283.00m |
型幅 | 45.00m |
型深さ | 24.70m |
満載喫水 (型) | 18.15m |
載貨重量 | 181,255メトリックトン |
船級 | ABS |
主機型式 | B&W6S70MC-C |
連続最大出力 | 18,660kWx91.0 min-1 |
森 剛敏 佐世保重工業(株)造船設計部 |