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"環境に優しい船" の開発について (前編)

長崎総合科学大学工学部船舶工学科 中尾浩一

1 地球環境問題の現状

地球環境問題の根源は人口の増加と文明生活への欲求にあり、それは大量の化石燃料を消費し二酸化炭素の発生で地球環境問題をより深刻にしている。

  • 石油ショック以来、代替エネルギーの導入が行なわれているが化石燃料の消費により温室効果ガスが増え、地球温暖化が進み、海面上昇や異常気象などの現象が発生。
  • 化石燃料はエネルギー密度が大きく、依然として輸送機器の動力としては最適で常温で保管が可能で安全性が高い。
  • 世界の一次エネルギーの推移
  • 代替エネルギーの開発にはエネルギー収支比も重要である。
  • 化石燃料の枯渇と、その消費に伴う環境破壊は21世紀最大の課題となっている。
  • "再生可能エネルギー" である太陽光、太陽熱、地熱、水力、風力、波力などはまだ数十億年間利用可能だがエネルギー密度が小さく不安定なのでエネルギーを蓄積する技術が重要。
  • その他の環境課題としては汚水や海洋投棄バラスト水の海洋汚染や生態系の関与など。

2 環境技術について

20世紀の反映を支えた自動車も環境対策が必要となり、電気自動車の本格的な実用化を前 に化石燃料と電気エネルギーを組合せたハイブリッド自動車が実用化となった。

2-1 自動車のハイブリッド

    ハイブリッド自動車も種々の方式が採用されている。

    (a) シリーズハイブリッド (S-HEV)
    (b) パラレルハイブリッド (P-HEV)
    (c) デュアルハイブリッド (S&P-HEV)
    (d) プラグインハイブリッド

2-2 電気自動車 (EV)

    電気自動車は振動も音も小さく、社内の快適性が増し、エネルギー効率も高く、使用する商用電源は価格も比較的安定しており、ガソリン代は夜間に充電した場合は1/9程度まで安くなる可能性がある。電気自動車は新興国や小規模ベンチャー企業な参入可能であるが現在の課題は航続距離の短さと価格の高さである。

2-3 電動バイク

    電動バイクの長所と課題は電気自動車と同じであるが、電池技術の進歩により、燃料電池スクーター、ハイブリッドバイクも開発されつつある。

2-4 ハイブリッド技術

    2-4-1 ハイブリッド技術の新規性・先駆性

    環境対策は化石燃料を少しでも減少させる技術すべてが含まれるべきで、ハイブリッド技術開発は現実的な環境対策としては最も有効である。

    2-4-2 ハイブリッド技術の実用化と応用

    ハイブリッド技術は蓄電装置と給電装置のパッケージ商品化はさまざまなビジネスチャンスを生み出す可能性がある。コジェネレーターとしての利用は大規模発電システムを使用しないので災害時のリスクを分散できる。

    2-4-3 ハイブリッド技術開発の目標設定

    ハイブリッド技術が普及するにはコスト開発が重要である。

2-5 ハイブリッドエネルギーの将来展望

    地球環境保全は、開発途上国も視野に入れた技術開発を行うべきで開発途上国では、風力や太陽熱を直接利用する簡単な技術も活かすべきである。また社会へ地球環境改善を啓発する必要もある。20世紀までの繁栄は化石燃料に依存して来たが、21世紀は地球環境保全をテーマに大きく転換し、電力供給施設も大規模集中から小規模で局地的なものへと変わるであろう。

3 船舶の役割と現状

世界の物流に支える船舶の必要性は今後も変わらないが、環境対策は遅れているが内燃機関の技術的改良、電気推進化、ハイブリッド化等が有望である。

3-1 船舶の環境対策

    船舶の環境対策として、外航船が排出する二酸化炭素を削減しようと、一隻ごとにCO2排出量の上限を定める基準の導入を提案する動きも出て来た。

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    3-1-1 造船の環境対策

    船型改良や推進効率の改善が省エネ対策や環境対策に結びつく。

    • 推進システム
      ポッドシステムの実用化により従来20%以上の省エネが実運航で確認された。またポッド推進器自体が回転することにより港内で優れた操船性能を発揮する。
      スクリューに装着する装置として、スクリュープロペラが回転する際に発生する渦を推進力に変え燃費効率を向上させた。
    • 摩擦抵抗低減技術
      船底に空気を送る空気潤滑システムも開発されており、海中で数ミリ大の気泡が海水との摩擦抵抗の低減効果が期待されている。また抵抗を減らす船底塗料も開発され、生物などの付着を抑えて燃費効率を高め燃費低減することが期待されている。
    • プラントの効率改善
      ディーゼル機関の効率改善と排熱回収技術としてハイブリッド過給機も有望で、余剰なエネルギーを電力として回収し、機関性能を最適化できる。

    3-1-2 海運の環境対策

    環境対策の運航技術としては減速、海流気候を考慮した最適ルート選定、適切なメンテナンスが挙げられる。営業努力要素としては積荷率の向上、バラスト航海の削減がある。その中でも減速が最も効果がありそうだ。



中尾浩一
長崎総合科学大学工学部船舶工学科准教授
海洋環境・舟艇デザイン

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