![]() Mark III 3D-CAD モデル [拡大画像] |
![]() 海上試運転中の本船 [拡大画像] |
![]() 風圧抵抗を減らしたブリッジ [拡大画像] |
![]() グレードアップされた居住区 [拡大画像] |
当社はプロダクトタンカー(石油精製品専用船)を得意とするメーカーとして、これまで「Mark I」、「Mark II」シリーズで75隻以上の同型連続建造の実績があります。今回開発された次期ブランド「Mark III」(D/W 50,000T) は、これまでの建造船の実績を踏まえて、基本計画から 4つのキーワード、「環境」、「安全」、「メンテナンス」、「オペレーション」を掲げて「地球にやさしい船作り」を目指して建造されました。
具体的には、「環境」面では、省エネ運航に寄与する船尾フィン「OPF」(Onomichi Parallel Fin) を設け推進性能を 5-6% 向上させ、時化た海でも造波抵抗の少ないバウ「OSB」(Onomichi Straight Bow) を採用し、写真のような風圧抵抗の少ない形状 (風圧改善効果 -16%) のブリッジを開発しています。そのほか、油汚染への対策として、船尾管シールを従来の「オイルシール」から最新の「エアシール」へ変更し、油流出を抑える仕様としています。また、乗組員の居住環境については、船内での働きやすい住環境を提供できるよう、ILO-MLC2006 を先取りする形で「居住区」のグレードアップを図っています。
また、「安全」面では、フライングパッセージを設置し、荒天時でも安全に暴露甲板や船首部まで行けるようにしたり、「メンテナンス」面では、船上機器のメンテナンスを最大限に考慮したアクセスや機器配置としたり、フライングパッセージもメンテナンスフリーの GRP 製 (標準仕様) としています。
さらに、「オペレーション」面では、これまで船主要求により施工したオイルメジャーの要求事項を設計段階から図面に盛り込んだり、リピート船主において要望が多い項目については当初から「標準仕様」としています。例えば、カーゴタンクのレベルゲージは高価ですが信頼性、メンテナンス面で優れた「レーダー方式」を採用しています。
今回の開発プロジェクトは、2006年の「シップ・オブ・ザ・イヤー」に輝いた「わかなつ」と同様の手法で、3D-CADによる「立体 General Arrangement」の作成により、上記のブリッジの外観デザインなども開発されました。このMark III シリーズには、このほか随所に斬新なアイデアが盛り込まれていますが、これからも、こういった試みが本物の「おらが船」、すなわち「尾造ブランド」の確立に結びつくものと確信しています。
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佐藤弘史 尾道造船(株)造船設計部 造船設計 |
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