メールニュース

九州大学百年の宝物「船舶模型と造船技術資料」

九州大学大学院工学研究院海洋システム工学部門 新開明二

本年、九州大学は創立百周年を迎え、各部局において蒐集された貴重な資料の中から百点を精選し、「九州大学百年の宝物」(九州大学百年の宝物刊行委員会編者)を出版しました。ここでは、同書籍に掲載された原稿に基づいて、当部門保有の「宝物」を紹介します。

1. 3本マストバーク型帆船模型

写真1 帆船模型
写真1 帆船模型
[拡大画像]

3本マストバーク型木造帆船の縮尺模型 (写真1) は、メインマストとフォアマストに横帆装置を備え、ミズンマストに縦帆装置を備えた帆船であり、製図室に展示されています。大正9年に購入されて以来、船舶の歴史ならびに造船技術の発達史を知るための教育資料として利用されてきました。

バーク型帆船は、19世紀後半における北米北欧の商船隊で最も活躍した船と言われています。汽船が出現した後もしばらくの間、帆船と汽船の併用時代が続きましたが、本模型の実船もその時代の典型的な船の一つであり、帆船から汽船へ移行する際の船型、船体構造形式、艤装品等の発達過程を知る上で、貴重な資料・情報を与えるものです。

2. 巡洋戦艦「霧島」模型

写真2 巡洋戦艦「霧島」模型
写真2 巡洋戦艦「霧島」模型
[拡大画像]

巡洋戦艦「霧島」は、新造時超弩級巡洋戦艦 (装甲巡洋艦) と称されていて、金剛型巡洋戦艦の内の一隻であり、民間造船所の三菱合資会社三菱造船 (現三菱重工業(株)長崎造船所) で1915年に竣工されました。巡洋戦艦「霧島」模型 (写真2) も製図室に展示されており、長年に亘って造船・造艦技術史の教材・資料として利用されてきました。

艦船模型は、縮尺1/96の精巧な木製模型です。精密な竣工時設計図面に基づいて、木片より削り出され加工・仕上げがなされた艦体、檣楼、兵装等と金属製の装備品・属具類、2舵、4軸螺旋推進器等から出来ています。

3. 造船技術資料

写真3 英文造船学教科書 (渡辺文庫より)
写真3 英文造船学教科書 (渡辺文庫より)
[拡大画像]
写真4 ガントリークレーン構造材片
写真4 ガントリークレーン構造材片
[拡大画像]

当部門の前身である九州帝国大学工学部造船学科は、我が国の国立大学における第二番目の造船学関係の学科として大正9年に設置され、これまでに日本・世界をリードする造船学の研究・教育業務を担ってきました。長年にわたり、購入・寄贈等により多くの造船技術関連の貴重な研究・教育資料が収集・保管されています。

写真3は故渡辺恵弘名誉教授より寄贈された書籍・研究・教育資料集 (渡辺文庫) に含まれる英文造船学教科書の一部 (G.S. Baker, D.W. Taylor, E. Foerster, W. Hovgaardらの教科書初版本等) です。

写真4は三菱長崎造船所で戦艦「武蔵」の建造にも使用されたガントリークレーンの構造材片であり、英国製の鋼材です。


関連リンク



新開明二
九州大学大学院工学研究院海洋システム工学部門
造船学

▲このページの最上部へ

学会事務局

〒105-0012

MAP

東京都港区芝大門2-12-9
浜松町矢崎ホワイトビル 3階
TEL:03-3438-2014/2015
FAX:03-3438-2016