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インテグラルアバット橋「遠目二号橋」の紹介

(株)大島造船所鉄構部鉄構設計課 前田 穣
遠目二号橋 全景
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構造比較図
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位置図
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長崎県東彼杵町の東部に大村市と佐賀県嬉野市を結ぶ県道6号線が通っています。山間の狭く入り組んだ道路でしたので、危険箇所の解消のため道路改良が進められ、その一環として平成20年3月に遠目二号橋が架けられました。この橋は「インテグラルアバット橋」という合理的な構造形式になっています。今回、その特徴を紹介します。

従来の一般的な橋梁では、図に示すように、橋台が「支承」と呼ばれる支点を介して橋桁を支えています。また、橋桁の端部には、地震時に橋の落下を防ぐ「落橋防止装置」や、橋桁の温度伸縮を吸収する「伸縮装置」(車で橋を通過するときにガタンと音を立てるアレです) といった部品が付いています。この伸縮装置は、道路の表面にさらされ、自動車による衝撃を直接受けるため、劣化・損傷しやすい部品で、これが破損して橋桁の端部に雨水が入ると、橋桁や支承の腐食を引き起こしてしまいます。実際に橋の端部は損傷事例が最も多く、これが従来方式の橋梁における弱点であるといえます。

これに対して、インテグラルアバット橋は、杭基礎と橋台、橋桁を一体化して門形のラーメン構造とした鋼とコンクリートの複合構造です。そのメリットとして、以下のようなものが挙げられます。

  1. 支承・落橋防止装置・伸縮装置といった部品が不要であり、建設コストを削減できる。
  2. 損傷しやすい付属部品自体が存在せず、腐食しやすい橋桁端部の狭隘空間もなくなるため、維持コストが抑制できる。
  3. 路面が連続化できるため、走行時の騒音が抑制される。ただし、橋桁の温度伸縮量が大きいと両端の路面に変形を生じるため、この構造を適用できる橋の長さは50m程度までに制限されています。

昨今、国の赤字財政により公共工事費の縮減が叫ばれるなか、老朽化した橋の維持・更新費用の増大も大きな問題となっています。本形式は橋のライフサイクルコスト削減に大変有効なので、小規模橋梁への活用が期待されており、NEXCOや地方自治体での採用事例が増えてきています。



前田 穣
(株)大島造船所鉄構部鉄構設計課
橋梁・鋼構造物

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