次世代環境対応ロールオン・ロールオフ船「日清丸」竣工
(株)新来島どっく技術設計本部基本設計部船体計画課 重光健太郎
海上公試中の日清丸
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2013年1月17日、(株)新来島どっく大西工場において、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構殿・日藤海運株式会社殿向け7,200DWTロールオン・ロールオフ型一般貨物船を引渡しました。本船は、2012年1月に完工した支援機構殿・北星海運株式会社殿向け「日王丸」の姉妹船として建造され、「日王丸」と同じ関東-九州間の貨物輸送に従事しています。
本船には2層のシャーシ用甲板と4層の乗用車用甲板があり、115本のシャーシと約800台の乗用車を同時に積載することができます。また、様々な省エネルギー対策や、CO2排出量の削減、漏油の防止等、環境にも配慮した船舶となっています。
- 最上甲板の暴露部には280枚もの太陽光パネルを設置することで、最大50kWの発電を可能としており、これらの電力は主に居住区関係に使用されます。共同浴槽への給湯にはヒートポンプ方式の給湯装置を設けており、また車両艙内をはじめとする船内の照明にはLED灯を採用し、消費電力の低減を図りました。
- ショアランプウェイ、可動式艙内ランプウェイ、揚錨機、係船機等全てインバータ制御の電動駆動としており、最適な出力で機器を使用することで、省エネルギー、低騒音を実現し、油圧機器を使用しないことにより、駆動油による環境汚染リスクの低下を図っています。
- 本船には陸上と1000kWもの電力を受け渡しできるコネクションを設けており、荷役時に陸上から電力を受け取ることで、本船の発電機を使用せず荷役が行えます。これにより、発電機エンジンからの排気煤による商品車へのダメージを抑え、港湾環境への影響も軽微とすることができます。また、逆に陸上へ電力や清水を送ることもできる上、艙内には電気自動車用の充電器も設けられているため、災害時には支援船としての機能も有しています。
- 2基のスラスターを全閉型のブリッジウイングより操作でき、天候に左右されず離着岸作業の行いやすい船となっております。また、大きなビルジキールやアンチローリングタンクを採用したことで、航海中、停泊中を問わず船体の横揺れを大きく低減し、荷崩れの防止や乗組員の居住性の向上を図っています。
主要目 |
全長(垂線間)×幅×深さ |
169.98m (160.00m)×26.00m×24.60m |
満載喫水 |
7.167m |
総トン数 |
11,483GT |
載貨重量 |
7,200DWT |
車両積載量 |
シャーシ 115本、乗用車 800台 |
主機関 |
三井-MAN B&W 8S50ME-C8.2 型ディーゼル機関×1基
(連続最大出力 13,280kW×127回転/分) |
航海速力 |
約21.20ノット |
定員 |
17名 |
船級 |
日本海事協会 (NK) |
船籍 |
横浜 |
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重光健太郎
(株)新来島どっく技術設計本部基本設計部船体計画課 |
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