2005年10月に西部支部メールマガジン第1号の掲載が始まり、今回で記念すべき第50号ということで、これまでのメールマガジンを読んで、個人的に印象に残った記事について紹介させていただきます。
最後の「大型鋼構造物の高信頼性確保と高付加価値化を実現していくためには、多くの損傷・破壊例が残した教訓を謙虚に受けとめて、前向きに、合理的に、今後の糧にする必要がある。なぜなら、大型鋼構造物が“壊れる”ことも、“全寿命において機能をまっとうする”ことも自然現象であり、それは担当者の能力次第で決まるからである。自然現象は正直であり、絶対に嘘はつかない。また、絶対に我慢もしてくれないのである。」の部分に深く感銘を受けました。これから船舶海洋分野・造船業界を目指す者として肝に銘じておかなければならないと感じました。
これまで造船所見学やインターンシップなどで、実際に盤木を目にする機会はあったのですが、ただ整然と並べてあるように映り、盤木に使われている木材も1種類だけだと思っていました。しかし実際には、盤木とタッチする船体形状に合わせて硬い樫と柔らかい松を上手に組み合わせることや、盤木をセットする作業に通常1〜2日、場合によっては4〜5日を要することなど、大学の講義では聞けないような造船所ならではの内容が興味深かったです。また、機知に富んだ締めくくりが大変面白かったです。
橋梁の構造形式として、トラス構造やラーメン構造など座学で学んだものが実構造の中で用いられていることが紹介されており、船舶や海洋構造物だけに固執せず、様々な分野の知識を習得する必要があることを改めて実感しました。
大正2年製造の250Tクレーンが紹介されていますが、今年でちょうど100歳でしょうか?戦前にはほとんどの鋼構造物にリベット接合が用いられていたと認識していますが、溶接が主流の現在でもリベット構造のクレーンが現役で稼働していることに驚嘆しました。合理的な構造設計、確かな製造技術、単純明快な操作システム、定期的なメンテナンス、そして、利用者の愛着が揃えば1世紀という非常に長い期間も充分現役で活躍できることを学びました。
気泡で船舶の摩擦抵抗を低減させる「空気潤滑システム」を搭載したモジュール運搬船や、球形カーゴタンクを縦強度部材として大きく寄与できる連続タンクカバーで覆うことで、従来型より大幅な重量低減・推進性能改善が可能となった新タイプのLNG船など、新しい造船技術が紹介されていてとても勉強になりました。
業務だけでなく部活動も盛んな会社の雰囲気が伝わってきました。これからも全国優勝目指して頑張ってください!
これまでのメールマガジンに掲載された記事を振り返ると、その内容は研究・教育関係、新造船紹介、事業展開、乗船記、海外研修や郷土紹介など非常に厳格なものからユーモアに溢れたものまで多種多様で、非常に興味深く読ませていただきました。また、とても勉強になりました。今回は、その中から特に印象に残った記事を挙げさせていただきましたが、その他の記事も有意義なものばかりで、面白く拝見しました。メールマガジンの振り返り、ぜひお勧めします。
藤 公博 九州大学大学院工学府海洋システム工学専攻博士後期課程2年 構造強度 |