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VLCCにてバラスト水低減船型のコンセプト承認を取得

(株)名村造船所船舶海洋事業部設計本部企画開発部企画課 夏城 力

当社はこれまで、国土交通省殿、公益財団法人日本財団殿など関係各位のご支援を頂き、また、船型開発及び水槽試験については財団法人日本造船技術センター殿のご協力を頂きながら、VLCCを対象にバラスト水低減船型 (Minimal Ballast water Ship、以下MIBS) の開発に取組んで参りましたが、2013年2月に一般財団法人日本海事協会殿より本船型についてコンセプト承認 (AIP = Approval In Principle) を取得しました。

図1 MIBS船型の3次元イメージ
図1 MIBS船型の3次元イメージ
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VLCCタンカーの在来船型はそのMIDSHIPが長方形ベースに、船底ビルジ部に少し丸みをもたせた形状であるのに対し、MIBSのMIDSHIPは長方形ベースに、船底ビルジコーナーを大きく三角形にカットした形状となっています。ポイントは、船底ビルジをカットしたことによって、バラスト状態では、かなり少ないバラスト水搭載量で十分な喫水を確保できますので、従来船型より排水量が少なく、燃料消費も削減されます。

図2 在来船とMIBSの中央断面比較
図2 在来船とMIBSの中央断面比較
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今回コンセプト承認されたVLCCの試設計では、同等の載貨重量を有する在来船型に比べバラスト水積載量が約65%削減され、必要なバラスト水処理装置の処理容量が半分以下で済みます。また、同等の速力にて満載状態で4%、バラスト状態で20%、両者の平均で12%の燃料消費量とGHG排出量が削減されます。したがって、環境負荷が少なく、運航採算性もよい次世代船型として期待されます。

なお、本船型の主要目は、以下の通りです。

  1. L×B×D×ds : 324.00m×60.00m×30.00m×21.50m
  2. 載貨重量 : 約300,300t
  3. ノーマルバラスト状態におけるバラスト水積載量 : 約30,000t (従来約85,000t)

今後、MIBSコンセプトの実船への適用に向けて、運航・建造・修繕に関連して幅広く顧客のご意見を聴取し、より具体的に実現化を検討していく予定です。



顔写真 夏城 力
(株)名村造船所船舶海洋事業部設計本部企画開発部企画課
船殻設計、基本計画

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