写真1 出航する本船 [拡大画像] |
写真2 ウェイパ港 [拡大画像] |
写真3 グラッドストーン沖待ち [拡大画像] |
写真4 キャプテン達と [拡大画像] |
2013年3月8日に引渡しを行った "RTM FLINDERS" (以下本船) にサービスエンジニアとして乗船しました。乗船の目的は、本船の運航状況の調査、不具合発生時、造船所へ正確な情報の受け渡しをすることです。ここでは、乗船の感想と寄港地情報等をご紹介いたします。
本船は89,000トン型Post Panamax B.C.シリーズの第2番船です。乗組員はインド人とフィリピン人が多数で26名です。航路は、オーストラリアのウェイパとグラッドストーン間のオーストラリア内航で、グレートバリアリーフ内を航行します。ウェイパからグラッドストーンまでは満載状態で4日間、グラッドストーンからウェイパまではバラスト状態で3.5日間かかります。名村造船所からウェイパまでは約10日間ほどでしたので、約20日間の乗船となりました。
積地のウェイパは、エンブリー川の河口にある港です。アクセスルートは非常に狭く、浅く一隻通るのがやっとです。なので、港の前がロータリーの様になっており一周する形で行き来します。入港時には、本船より数か月先に引渡されたシリーズ第1番船 "RTM DIAS" と入れ違いに入港し、出航時には7年前に引渡した弊社建造船と入れ違いで出航しました。ローディングは約1日で完了します。ウェイパはほぼ淡水のため、海に出た時の状態 (比重の差) を考慮しながら荷積をしていました。実際、海に出た時の喫水は積み付け時の狙い通りで、驚きました。
グレートバリアリーフには専属のリーフパイロットの操船が義務付けられるパイロッテージエリアがあります。そこでは船の真横にサンゴ礁がうっすらと見え非常に美しい景色を見ることができました。揚げ地のグラッドストーン沖で2日程沖待ちしましたが、グラッドストーンにはセメント工場、世界有数のアルミニウム工場があり、尚且つ石炭積み出し港でもあるため、本船の周りには数えられるだけでも20隻以上の船舶が沖待ちをしていました。入港は深夜となり、荷揚げしたボーキサイトはベルトコンベアで工場へ運ばれアルミの原料、アルミナへ加工されます。年間約400万トンのアルミナを精製しているそうです。単純逆算で2倍のボーキサイトを必要とするはずですので、船舶は非常に有効な輸送手段といえます。船舶の有用性を感じることが出来ました。
乗船中にクルーは、日本の船は良いとしきりに話しており、日本の船に対する評価・信用は非常に大きいと感じました。品質を向上し、技術で差をつけ中国・韓国との競争に負けない船を開発・計画できるよう精進したいと思います。
乗船体験を通じて実際の船の運航や、船員の生活を直に見ることができ、通常の業務では体験することができない、非日常を経験することができ、視野を広げることができました。文末になりましたが、このような貴重な体験をさせていただいた船主殿、ご支援頂いた関係者皆様に深く感謝申し上げます。
立石昌也 (株)名村造船所船舶海洋事業部設計本部企画開発部開発課 船体計画 |