メールニュース

ドック扉船の紹介

佐世保重工業(株)艦艇修繕船営業部管理課 愛甲剛広
写真① ドライドック補修状況
写真① ドライドック補修状況
[拡大画像]

佐世保造船所には、6つのドックがあり、米軍管理のひとつを除く5つのドックを当社で管理しています。ドックの主な設備としては、ドック本体のほかに、注水バルブ・排水ポンプ・扉船があり、定期的に補修及び新替えを行っています。昨年 (2013年) は1ドック扉船の新替えを行いました。新替え前の1ドック扉船は大正時代に建造されたものであり、鋼板はリベット継ぎ、注水バルブはゲート弁、水密部は木材を使用しており、ドライドックにて補修を行いながら使ってきました。写真①はドライドック補修を行っている状況です。今回の新替えで、鋼板は溶接継ぎとなり、注水バルブはバタフライ弁に、水密部はゴムに変更し、形状も変わりました。新替えを通じて、知った扉船の仕組みについて紹介します。

  1. 扉船はドックの水門であり、海とドックの間に据付けます。ドックを空にして海側から扉船全体にかかる大きな水圧によって水を堰止めています。
  2. ドックに船を出し入れするときは、まず注水を行います。ダムの放流のように水がドックへ流れ込んできます。
  3. ドック注水が終わると、扉船にかかっていた水圧がなくなり浮上するので、容易に移動できるようになります。
  4. 扉船を移動し、渠口を開放したあと、船を出し入れします。
  5. 扉船を閉じる時はワイヤーやタグボート等で、渠口へ寄せたあと、扉船の中に水を入れて、ドック戸当りにむけて徐々に沈めていきます。左右の傾きを入れる水の量で調整しながら沈めていきます。
  6. ドック戸当りに近づいてきたら、排水ポンプを起動して、ドック内の水を排出することで、ドック内外に液位差が生じ扉船が引き付けられていきます。扉船を戸当りに静かに座らせるように排水ポンプの起動タイミングを考慮する必要があります。

  写真② 扉船据付け状況
写真② 扉船据付け状況
[拡大画像]
  写真③ ドック注水
写真③ ドック注水
[拡大画像]
  写真④ 渠口開放
写真④ 渠口開放
[拡大画像]
  写真⑤ 扉船の据付(閉鎖)中
写真⑤ 扉船の据付(閉鎖)中
[拡大画像]
写真⑥ 砲身
写真⑥ 砲身
[拡大画像]

このように浮き沈みさせて操作する扉船はフロート式と呼ばれます。扉船は細長い形状で安定性はあまりよくありません。出来るだけ安定させるために、船底にはバラストコンクリートを積みますが、コンクリートの比重では十分に重心を下げることが出来ないため、昔は砲身 (写真⑥) 等をバラストとして入れ込んだりしました。

佐世保造船所の5つのドックのうち、4つがフロート式の扉船です。残り1つがゲート式と呼ばれるもので、扉船の基部がヒンジで固定されており、頂部のワイヤーで巻上/下して開閉する方式です。ワイヤーの巻上/下は、ボタンのON/OFFで操作します。ドックの注水はドックサイドのバルブを使って注水したあと、ボタンを押して開閉します。昨年は注水バルブ (外径3m程のバタフライ弁) の交換も行いました。

図1 開閉のイメージ
図1 開閉のイメージ
[拡大画像]

フロート式とゲート式の開閉のイメージは図1のようになります。フロート式の操作にはテクニックが必要となります。ゲート式の開閉は短時間のうちに容易に行えますが、基部がヒンジで固定されているため、大掛かりな補修が難しい構造になっています。

補修の計画で、図面や資料を漁っているとドックについて多くのことを知ることができます。今回はそのひとつとして扉船を紹介しましたが、他にもドック本体や排水ポンプ設備等の構造や図面等を調べてみると、ドック全体がひとつの船のように色々な設備や機能があることを知ることができます。



愛甲剛広
佐世保重工業(株)艦艇修繕船営業部管理課

▲このページの最上部へ

学会事務局

〒105-0012

MAP

東京都港区芝大門2-12-9
浜松町矢崎ホワイトビル 3階
TEL:03-3438-2014/2015
FAX:03-3438-2016