三菱重工業(株)船舶・海洋事業部長崎技術部計画設計課 田中大士
![]() 海上試運転中のRAMFORM TITAN [拡大画像] |
昨年5月に長崎造船所にて竣工しました、Petroleum Geo-Services ASA社 (以下PGS社) 向けの3次元物理探査船「RAMFORM TITAN」の概要について紹介します。
本船は、弾性波を地中に向け発振し、地層の不連続面で屈折・反射した反射波を観測・解析すること (物理探査) で、海底下の石油や天然ガスに係る地質情報を調査する専用船です。当社で建造したのは、同社にとって第5世代となる最新鋭の船になります。
PGS社が開発した船尾で最大幅となる三角形の独特な船型は、ラムフォーム (Ramform) 型と呼称されています。第4世代のラムフォーム型は船幅が40mでしたが、同社の経験に基づいて今回70mに拡幅されました。本船は反射波を観測するハイドロフォンと呼ばれる受振器を一定間隔に内蔵したストリーマーケーブルを最大24本曳航可能となっており、効率良く、かつ精度良く反射波を取得することが可能です。拡幅したことにより、ストリーマーケーブルの展開・回収時の安全性も向上しました。
本船は音波を使った物理探査を行いますので、観測に支障を来さないように、推進機関には静粛性に優れたディーゼル発電の電気推進を採用し、エンジンは弾性支持としています。また騒音の原因となるキャビテーションが発生しないプロペラ周辺の船体形状、及びプロペラを採用しました。
観測は24時間連続して行われ、かつ広大な海域の調査は数か月に及ぶこともあるため、観測者を含めた乗組員最大80名が効率的かつ快適な活動と生活ができるよう、観測設備はもとより、居室、食堂、ラウンジ、TV室、サウナ、屋内ボールゲームコート、屋外プールなどの居住・娯楽施設が充実していることも本船の大きな特長です。また、観測中は停船できないため、乗組員の交代や物資の補給のためのヘリコプターデッキや給油船から洋上給油できる設備を有しています。
本船の主要目は以下の通りです。
全長 | abt. 104.21m |
---|---|
型幅 | 70.00m |
型深さ | 8.10m (乾舷甲板) |
夏季満載喫水 | 6.42m |
船級 | DNV +1A1, SPS, ICE C, E0, HELDK, RP, CLEAN DESIGN, TMON, BIS, NAUT-OSV(A), VIBR, COMF-C(3)V(3) |
推進システム | 推進電動機 6,000kW×3基 |
推進器 | ノズル付CPP×3基 |
航海速力 | 16.5kt |
![]() |
田中大士 三菱重工業(株)船舶・海洋事業部長崎技術部計画設計課 基本計画 |
---|