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三浦工業と共同開発した業界初の「補機熱回収ユニット」の紹介

常石造船(株)設計本部商品企画部機電計画グループ 小林 裕

一般的に原油は製油所で石油製品 (ガソリン、軽油、灯油など) に作り替えられます。船舶はその残油 (重油) を主な燃料に使用しますが、経済成長による石油消費量の増加により、石油の供給量が不足し、将来、石油枯渇による燃料価格の高騰を招く原因となっています。燃料を多く使用する船舶にとって非常に大きな問題であり、省エネルギー化の要求が高まっています。

一方、国際海事機関 (IMO) の海洋汚染防止条約では『船舶からの大気汚染防止のための規則』が2005年より実施され、第58回海洋環境保護委員会により窒素酸化物 (NOx)、硫黄酸化物 (SOx) の規制が段階的に強化されることとなりました。特に2016年からは窒素酸化物 (NOx) 3次規制となり、1次規制と比べ規制値を80%削減する大幅な規制強化の実施が予定されています。

消音器計測風景
消音器計測風景
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常石造船では環境性能と熱量確保を模索していました。主機に次いで熱回収が期待できる補機関 (発電機) に注目し、小型貫流ボイラのトップメーカーである、三浦工業(株)と2012年1月より「補機排熱回収ボイラ」の共同開発を開始しました。

その中で弊社は主に造船所の立場で船舶に有利となる性能、機器サイズ等を担当し開発に携わりました。特に消音機能に注目し、補機関メーカーであるダイハツディーゼル(株)の協力もあり、数々の消音器の開発および計測を行いました。その結果、付加価値として消音効果を含んだ補機熱回収ボイラを開発することが出来ました。


補機熱回収ボイラ
補機熱回収ボイラ
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船舶では一般的に3台の補機関を搭載しています。「補機熱回収ボイラ」はそれぞれの補機関から熱回収することが可能です。常石造船ではそれぞれの発電機から熱回収を行える様に補機熱回収ボイラを3台装備しています。

補機熱回収ボイラの特徴

  • 発電機から熱回収することで、補助ボイラを大型化することなく、船内に必要な蒸気量を確保することが出来ます。
  • 専用のサイレンサーを内蔵し、排熱回収の他、消音機能も備えています。
  • 補機熱回収ボイラは配置に合わせた柔軟なレイアウトが可能です。
  • 正常な蒸気量を確保するため、各伝熱管に高圧空気スートブロアを設けています。


小林 裕
常石造船(株)設計本部商品企画部機電計画グループ
基本設計

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