広島大学大学院工学研究院エネルギー・環境部門 岩下英嗣
図1 観測部風速分布計測結果 [拡大画像] |
図2 船舶の風抵抗試験 [拡大画像] |
図3 矩形翼の空力試験 [拡大画像] |
この度、広島大学の風洞設備が更新され、新型風洞として生まれ変わりました。老朽化した旧設備の代替として国立大学法人施設整備費補助金を得て平成26年2月末に納品されるに至りました。その設備は、観測部寸法 (W2m×D2m×L4m)、風速域0.5m/s〜25m/s (送風機定格90kW)、乱れ度1%を達成できるゲッチンゲン型風洞本体に、3次元電動トラバーサ、ターンテーブル内装の可動式架台を付したものであり、全システムとして高効率高精度な実験計測を可能とするものです。
6月末に納品後の残工事が完了し、7月から3次元電動トラバーサを用いて観測部の風速分布の計測を行い、各設定風速における観測部全域の風速分布や乱れ度を調査しました。高風速時に下流側断面周辺で乱れ度が大きくなるものの、上流から中央の範囲では模型の空力計測に十分な性能を有していることを確認しています (図1)。その後、他の研究機関の風洞を用いてデータ収集されている船舶模型 (図2)、翼模型 (図3) を用いて空力計測を行い、得られたデータを比較することで、模型計測レベルでの風洞性能検定を行っています。その結果、本風洞の性能が十分であることが確認されています。
今後は、航空機、船舶、自動車、風力タービンなどの空力試験に広く利用して行く予定です。学外も含めた共同利用施設と位置付けられている設備なので、企業等で共同研究や受託研究を希望される場合には是非ご一報下さい。
岩下英嗣 広島大学大学院工学研究院エネルギー・環境部門 船舶海洋工学 |